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動物ってすごいなぁーと思った日。ドキュメンタリー「シェルター・ミー」を観て

  • 掲載日: 2013年7月20日
  • カテゴリー:コラム

戦争から帰って来たアメリカ兵──何十人もの人を殺したり、どこに隠されているか分らない爆発物に緊張の連続。

戦争から生きて帰ってこられても、PTST(心的外傷後ストレス症候群)などで、抑えきれない怒り、深い悲しみ、鬱など様々な症状と戦う事になる。

2010年のデータによると、戦場で亡くなる兵士よりも、戦争から帰って来た後、自死によって亡くなる兵士の数の方が多い事が分っているらしい(しかも2年連続)。

▲サービス・ドッグ

▲サービス・ドッグ

話は少し変わるが、アメリカにはシェルターや保健所から引き出された犬達を、刑務所にいる受刑者の所に連れて行き、障害を持った人達のサポートをする ”サービスドッグ” の訓練をする団体がいる。

受刑者達はそのプログラムで、”サービスドッグ” を養成する為のトレーニング方法を学びながら、犬という命を預かる重みを経験し、愛する事を知り、愛される事を学ぶ──受刑者達もまた、保健所やシェルターの犬達と同じように、大人にほったらかしにされ、愛を知らずに育ったり、虐待を受けた経験がある場合が多いからだ。

私自身が犬達から学んだのは、様々な状況で相手を慈しむ心──。一言 ”受刑者” で片付けてしまわずに、それぞれ一人一人に心を向けると、彼らの色んな過去が見えてくる。それが犯した犯罪の言い訳になるとは言わないが、単に ”受刑者だから”、 ”犯罪人だから” といって、彼らを心の中で裁き、1つの箱に入れてしまうのではなく、もう少し思いやりの気持ちで見ようと思えてくる。その思いやりの気持ちは受刑者だけではなく、自分の嫌いな人、恨んでいた人、間違った事をしていると思える人などにも値する。まだ “許す” 事ができなくても、「もう一度思い直してみよう」と、少なくともそういう自覚が生まれてくる。

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▲受刑者と担当しているサービス・ドッグ訓練犬

受刑者からトレーニングを受け、彼らに可愛がられる犬達を見ていると、その場面に言葉では説明できない純粋無垢な何かを感じ、涙が出てくる。まさに犬に姿を変えた神様に出会ったような感動なのかもしれない。あとは単純に、「刑務所でのサービスドッグ・トレーニング・プログラムはなんて合理的なんだ!」と軽い感動を覚える──関わった全ての人や犬が恩恵を受けるからだ。

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刑務所で担当の受刑者(トレーナー)と24時間一緒に過ごす犬達は、そこで4ヶ月〜6ヶ月訓練を受けた後、受刑者達に見送られ、新しい飼い主の元へ旅立つ。

無期懲役で刑務所に入っている受刑者は「私はこのプログラムと犬達のお陰で救われている。」という。

刑期を終えて社会に復帰する人達は、出所後、プロのドッグトレーナーとしての「キャリア」を手に入れる事ができる。「サービスドッグ・トレーニング」のプログラムに所属していた元受刑者達が、出所後再び犯罪を犯し刑務所に戻って来る確立はゼロに近いという。つまり、プログラムに関わる人や犬達だけではなく、社会で暮らす私たちもその恩恵を受ける事になる。

こうしたプログラムの下でサービスドッグとなった犬達の行き先の1つは、先ほど話した元アメリカ兵達だ。

戦争で人を殺した自分を責める元兵士。また、戦場という地獄の中で、人として当たり前にある「感情」を表に出す事を許されずに過ごしたストレスからか、日常の生活で怒りを抑えられなくなったり、何かの音によってパニック障害を起こしたり、ぞっとする様な戦場での体験が何度も何度も頭の中をグルグル回り続ける状態が続くという。

サービスドッグは、そういった元兵士の存在にも光をともす。

▲PTST(心的外傷後ストレス症候群)と戦う元兵士と彼を癒すサービス犬

▲PTST(心的外傷後ストレス症候群)と戦う元兵士と彼を癒すサービス犬

側にいてくれるだけで自分の存在が許される気がしたり、そのままの自分を受け入れてくれる気がするのか?その答えは元兵士本人にしか分らないだろう──多くの兵士は「この犬が僕(私)の所にこなかったら、今頃僕は(私は)生きてはいなかったと思う。」と言う。

そういって涙をこらえる彼らの側には、シェルターや保健所に入れられていたサービスドッグ達がいる──。

シェルターの犬達のドキュメンタリー「シェルター・ミー」

戦争は奪うだけで得られるものは何もない。これが戦争をするという結果だ。

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