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【米国発】連載コラボ企画!第10回目:犬のカーミング・シグナルを知る

【米国発】連載コラボ企画!第10回目:犬のカーミング・シグナルを知る

しばらくバケーション中(?!)であったかのように間が空いてしまいました連載コラボ「犬を知る!」。NYCのシェルターで、施設に入って来る沢山の犬達の行動評価(Behavior Assessment)などを行う麻穂さんに、今回は犬のカーミング・シグナルについてお話を伺いました。「犬のカーミング・シグナル」という言葉を初めて聞いたという皆さん、犬が何を言いたいのかを知るチャンスです!是非犬と暮らす全てのお友達にこの記事を教えてあげて下さいね〜☆ちなみに「カーミング(Calming)」とは「落ち着く」という意味で「シグナル(Signal)」は「信号」という意味です。〜Big Tree for Animals

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──Big Tree: 麻穂さん、今回は犬のカーミング・シグナルについてお聞きしたいと思います。まず、カーミング・シグナルという言葉ですが、初めて聞く方の為に大体の意味を教えて下さい。

──麻穂:はい。カーミング・シグナルとは、犬が自分自身のストレスや相手(他の犬や人間)のストレスなどを感じた時、不必要な争いなど悪い状況に発展しないよう「こちらはリラックスしようとしています」や「決して敵意はありません」などという意思表示をするために送る信号です。

──Big Tree: カーミング・シグナルって、本当に見逃しちゃうくらい小さなサインの場合がありますよね。

基本的なカーミング・シグナル

  • あくび、顔(目)をそらす
  • 目をしぼめる(ソフトアイ)
  • 地面を嗅ぐ
  • 鼻を舐める(下をぺろぺろする)
  • (相手を前にして)伏せする
  • バナナのような弧を書くようにして対象となるもの避ける

──麻穂:そうですよね。犬は身体のあらゆる部分を使い、また色んな方法でその信号を送りますよね。でも相手がその様々な信号を全く理解してくれないと犬は困惑し、自分の感情を示す最終手段(攻撃や逃避)に出なければいけなくなることもあるので、このカーミング・シグナルをしっかり理解したいですね。また、単頭飼いの犬の場合(わたし自身がそうなので)、できるだけ社交の場を与えて他の犬からカーミングシグナルを読む、送る練習をさせてあげる場も必要だと感じます。その際に飼い主もしっかり理解していないと、愛犬が間違った行動をしている場合にきちんと導けないので飼い主としてやはりこのカーミング・シグナルはしっかり理解したいことですね。

──Big Tree:カーミング・シグナルは何気ない感じで、あっという間に起る事が多いので、実際に見てもらった方が良いと思い、今回はこちらでYouTubeでみつけたビデオを紹介します。このビデオには実際の犬のカーミングシグナルが収められていますので、まずは見てみましょう。この中で私には先ほどあげたカーミング・シグナルのうち、4つのカーミング・シグナルが見られますが、皆さんも見つけられるか確認してみてください。

──麻穂:はい、このビデオの犬が出しているカーミング・シグナルは、あくび、顔そらし、ソフトアイ(目をしぼめる)と鼻なめです。変な物体(ビデオカメラ)が自分を凝視し、何かしようとしていることに関して少々ストレスは感じているものの、こっちも敵意はないから・・・向かっては行かないよ、という意思表示を一生懸命送っていますね(猫ちゃんは横で堂々たるもの!)この生あくび、犬がよくやりますね。これは決して眠いからではありませんのでしっかり覚えておいてください。犬がストレスを感じ、なんとかリリースしようとするときによくこのあくびをします。自分も相手もリラックスさせるための方法ですね。

──Big Tree: 次のビデオは、好奇心が少しある感じの犬のカーミング・シグナルです。これもけっこう見逃しちゃいそうな感じですねー。では下の動画ご覧下さい。

──麻穂:変な物体(ビデオカメラ)を向けられて最初目を逸らし、舌をぺろぺろしていますね。最初のわんちゃんよりはもっとカメラを凝視するんですが、やっぱりその変な物体に対してストレスを感じている意思表示をしていますね。凝視の中にもちょっと目を逸らしたり、また舌をぺろぺろしたり、飼い主さんに様子を伺って「大丈夫だよね?」と確認していますね。そしてカメラが接近してくると不安ながらも興味があるので顔を近付けて臭いを嗅ぐのですが、やっぱり不安は隠せず頭をかしげたり、ちょっと後ずさりして自分に攻撃性がないことも表示していますね。優しくゆっくり近づいてカメラをペロッとしたり、ゆっくり振る尻尾はこれも自分が危ないものではないことを表示しています。このわんちゃんが最後の方で見せる「床の臭いを嗅ぐ」のも自分と相手に出すカーミング・シグナルです。

──Big Tree: 最後にお見せするビデオは、犬に対して攻撃性のある大きなボクサー犬の「ジェイソン君(最初に映る犬)」が、もう一匹の犬の「ピーナッツ(非常に社会化されてバランスのとれた犬)」が見せるカーミング・シグナル(落ち着きなよー、ボクは何も恐くないよ〜。というサイン)に反応して、普段他の犬に会った時と違い、比較的落ち着いてくるという動画です。さて、ピーナッツが見せるカーミングシグナルなんだか分りますか?(英語のナレーターが入りますが、無視してくださいね☆)

──麻穂:ピーナツは実にすごいスキルを持っていますね。ジェイソンをなだめる為、またジェイソンに襲われないようにする術を見事に熟知していますよね。まず絶妙な間を保って敵意がないこと、また襲われないようにする距離をキープしていますね。そして絶対に目を合わせません。目を合わせるということは挑戦的にとられるサインなので、ピーナツはそう思われないようにするために一切目を合わせない。敵意がないよ~~と言ってますね。そしてジェイソンに一生懸命落ち着いてもらおうとしていますね。そして方向転換をして「ほら、挑戦的になってそっちに行こうとなんてしてないでしょ。」と見せていますよね。その後地面をくんくん嗅ぐところや、草をむしゃむしゃするところなんかもほんとにジェイソンをなだめる必死のカーミングシグナルです。自分の落ち着きぶりと、また敵意が全くなく、興味があるのはこういうことにだけだよって言ってますね。このピーナツの熟知した行動のお陰で普段は他の犬だともっと荒立ってしまうジェイソンも稀にみるように落ち着いているとトレーナーさんが言ってるくらいですからさすがです。

──Big Tree: 普段は何とも思っていなかった「犬が鼻をぺろっと舐める姿」や、自分の愛犬を写真に撮る時に、目線をカメラに当ててくれない時等、犬の気持ちが理解できるようになりますね。他のワンちゃんと挨拶させようと犬を近づかせた時、あなたの犬はどんなカーミング・シグナルを出していますか?そのような犬を無理矢理相手の犬に近づけたりしていませんか?麻穂さん、カーミング・シグナルを学ぶと他にどんなメリットがあるんでしょう?カーミング・シグナルについてなにかおすすめの本などありましたら教えて下さい。

──麻穂:カーミング・シグナルを読めるようになると、愛犬がどんな時にどんなことでストレスを感じているのかが理解できてくるし、また他の犬の感情ももっと理解できますよね。最初にも触れましたが、一生懸命カーミング・シグナルを送っている犬が相手に全く理解してもらってないとわかったら、自分の感情を表現するのにカーミング・シグナルを超えた表現の仕方(攻撃や逃避など)に移ることもあるので、犬の送っている信号をしっかりキャッチできるようになりたいですね。そのためには日頃から愛犬のボディーランゲージをしっかり観察し、適宜対応できたら「不必要な状況」の予防になります。また犬ともっとよいコミュニケーションが取れ、絆が深まるでしょう。

カーミング・シグナルという言葉を生み出した母、ノルウェー人のトゥーリッド・ルーガス著書の『カーミング・シグナル』は写真が一杯で説明も分かりやすく、とても勉強になるお薦めの本です。日本語版も出ているので是非ご一読してみてください。

──Big Tree: 私もその本読みました〜!ホント写真が沢山あって、分厚くないし、とても分りやすい本でした♬カーミング・シグナルを学ぶと、犬を見る目が変ります。色んな所で、犬達がカーミング・シグナルを使って色んな意思表示をしています。例えば旦那さんや奥さんと大声を出して喧嘩している時、チラっとわんちゃんの事を見てあげて下さい。もしかしたら、「落ち着きなよー。」ってあくびをしたりしているかもしれません(笑)麻穂さん、今日もありがとうございました〜!

寺口麻穂さんと愛犬のジュリエット

寺口麻穂

ドギープロジェクト、オーナー、米国ニュージャージー州のシェルターボランティア、アダプション・カウンセラーなど犬のしつけ・訓練に関するスキル、犬とのコミュニケーション法、犬の心理学などの知識を備え、長年の経験を積んだ犬のスペシャリスト。アメリカで発行されている日本人向けの情報誌、U.S. FrontLineにて「ドギーパラダイス!」というコラムも連載中。 URL: www.doggieproject.com ブログ:犬のこころ」 Blog (English): Doggie Paradise! Facebook:ドギーパラダイス!

プロフィール:

1988年に大阪を出て、「英語」と「世界」を学ぶためサンフランシスコ・ベイ・エリアに上陸。大学・大学院で文化人類学を研究した後、1999年に愛車で大陸横断し、東海岸に移住。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに「子供の頃からの夢を現実に!」と犬のプロになる決意をし、人間の専門家から犬の専門家にキャリアチェンジ。地元のアニマル・シェルターでボランティアをしながら、個人でビジネスも立ち上げ、犬と飼い主がより充実した生活を送れるようその指導に日々励んでいる。11年前にシェルターから酷い虐待を受け捨てられたジュリエットという女の子のピットブルをアダプトする。この11年間、「運命共同体」としてお互いなくてはならない存在になる。2011年7月25日、沢山愛されたジュリエットは推定13歳で虹の橋へ。2012年2月シェルターにて生後5ヶ月のピットブルテリア、ノア(♂)を譲渡し、共同生活を始める。

【免責】

こちらに記載しているアドバイスはあくまでも一般的状況においての事柄です。各家庭における犬の問題行動にはそれぞれの環境や状況などが関係してきますので、寺口麻穂及びBig Tree for Animalsはそれらのひとつひとつにお答えする事はできません。又両者はこれらの記事の閲覧によって生じたいかなる損害にも責任を負いかねます。飼っている犬の問題行動への解決にはプロのトレーナーさんにかかる事をおすすめします。

このコラボ企画「犬を知る!」では質問を受け付けています。犬について知りたい事があればお問い合わせページよりお寄せください。

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