【米国発】連載コラボ企画!第8回目:ライフスタイルにあった犬種を選ぶ大切さ

愛犬選びは結婚相手選びと同じくらい重大!

──Big Tree犬にも個体の性格や個性というのがあると思うので、全て一概には言えないと思いますが、犬種によっての性質とその犬と暮らす人間のライフスタイルって大切なポイントだと思うんです。私が経験した愛護団体の譲渡会では、譲渡希望者の方とお話をする際に、必ず対象となる犬とその方のライフスタイルについて質問し、お互いのスタイルがマッチするか確認する事になっています。私は、犬が幸せに暮らせる為はもちろん、10年〜15年という長い間の関係ですので、一緒に暮らす人間にもあまり負担にならないように、自分のライフスタイルに合う犬を探すのが「お互いの為」になると思っていますが、麻穂さんはどう思いますか?

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ローデシアン・リッジパック
ローデシアン・リッジパック

──麻穂:まさしく!愛犬選びは結婚相手選びと同じくらい重大性を持って選んでほしいと思っています。冗談じゃなく。犬を飼う時に考える条件は色々ありますが、自分のライフスタイル、また性格に合っている犬を探す(=マッチング)ということは本当に大切なポイントです。それはお互いが長い日々を心地良く過ごしていけるためです。友達が飼ってるからとか、最近TVで見て可愛いと思ったからだとか、映画で大ブームになって流行っているからなどと言う理由で選び、その犬種が自分にあっていなかった場合、それからの人生(同時に犬生も)大変な苦労になります。最悪の場合は「離婚=放棄」にまで至ってしまうこともありますので、事前に気に入った犬種がいれば、その犬種の特性をしっかりリサーチし、自分に合っていているかをじっくり検討して選んでほしいと思います。もし自分に合っていないと思えば、それはお互いのためです(犬を飼うということは人間にも犬にも楽しい経験であるべきなので)。あっさり諦めて自分により合った犬種を探しましょう。

猫は種類が違ってもさほど特性に大きな違いはありませんが、犬は違います。犬の種類は、人間が自分たちの生活の様々な部分に合うように改良して作り上げてきたので、純血犬はその用途を発揮するための特性を出す場合が多いのです(放牧犬、護衛犬、猟犬、回収犬、使役犬など)。犬種によってはすごい運動量が必要な犬がいたり、常に脳を刺激させるようなアクティビティーが出来る機会をあげていないと退屈してしまい、エネルギー発散にいたずら的なことをする犬もいます。

──Big Tree 基本的にハイエナジーで、一日に1時間以上の散歩、下手すればそれだけでは物足りないので、アジリティー、フライボール、犬ぞりなどのアクティビティーが必要になってくる犬種はどれでしょう?あと、こういったタイプの犬に合う人というのはどういうタイプでしょうか?

フライボールというスポーツを楽しむ犬達

アジリティをする犬たち

──麻穂:ボーダーコリー、オーストラリアン・ケトルドッグ、オーストラリアン・シェパード、ジャック・ラッセル・テリアなどは、仕事をするために生まれてきたような犬種なので、頭の刺激になるアクティビティーが出来る機会を多く提供してあげないといけません。毎日の運動はもちろんのこと、トレーニングで何かを学んでもらい、習得させる喜びを与えるということが大切だと思います。ローデシアン・リッジパック、ポインターなど、スポーティング・ドッグと類別される犬種は大変強靭です。それだけ運動量が必要なので、飼い主も同じように強靭で体力があり、運動が大好きで一緒にアウトドアを楽しむ派でないとお互いが辛い思いをすることになるでしょう。

あと、ボーダーコリーに代表されるような、集中力がとても高いタイプの犬の飼い主は、あまりにも神経質で落ち着きのないタイプの飼い主さんと暮らすと、そのエネルギーに影響されてしまい、下手をすると強迫神経症(OCD)のような症状を起こす事もありますので、アウトドアでスポーツ好きである事は大切なのですが、同時に冷静沈着タイプであることが重要で、そしてまた「規律正しい性格、決まった事をきちんとこなせるタイプ」である事も必要になってくると思います。逆に飼い主さんがあまりにも自由奔放で、愛犬に対してもそうしたいタイプだと逆に犬が混乱しちゃうと思うんですよね。ボーダーコリー系の犬ってほんと仕事に燃えていてハンドラーに仕事命令されてなんぼ!みたいに喜ぶところがあると思いますので。

──Big Treeなるほど〜。私も一度お友達のドッグシッターをした事がありまして、その時に一緒にお散歩にいった美しい犬がボーダーコリーのマンディちゃんでした。彼女、お散歩しながら、私の事じーーーって見つめるんですよ〜。「いつでも指示を下さい。」って感じですかねー。感動しちゃった。それでは逆に『私はインドア派で、一日2回の散歩は行くけれど、基本的に「カウチポテト派」です。』という人に合う犬種は?

グレーハウンド
グレーハウンド

──麻穂:世界で一番速い犬グレーハウンドは、ある種「猫のような犬」で、独立心が強く、家の中で自分のスペースを要求するかわりに、飼い主のスペースもきちんとリスペクトし、家の中では大変「おとなしい」犬というケースが多いようです。ですから、大型犬が好きだけど自分自身はどちらかと言うと「カウチポテト派」という方にはグレーハウンドがお薦めかもしれません。

レース場から引退させられて行き場をなくしたグレーハウンドの多くが、グレーハウンド・レスキュー団体に引き取られて家を探していますので、レスキュー・アダプションという素晴らしい体験もできますよ。興味があれば是非チェックしてみてください。

後は、耳の大きなバセット・ハウンドなどもメロー(のんびり派)なのでリビングルームでのんびりの「カウチポテト派」に向いているでしょうね。

犬種以外にも、犬の年齢や性格も関係も

──Big Tree 犬種だけでなくても、犬の年齢や性格も関係してきますよね。例えば、老犬を譲渡する場合、若い犬に比べて散歩の量も減りますし、犬を連れて運動したくない人には老犬があってたりしませんか?

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──麻穂:犬と暮らしたい理由が、日常生活を共にするコンパニオンがほしいという気持ちが強く、アウトドア派でない人、また自分自身の日常がかなり多忙で犬のトレーニングやその他のアクティビティーに時間が取れないという場合は、是非「ロー・メインテナンスな犬種」か老犬をお薦めします。老犬は運動やトレーニングに要する時間をあまり要求しないし、スローになった行動が癒し効果を大いに発揮してくれると思いますので、アクティブなライフスタイルでない人に向いていると思います。

──Big Tree 私が知っているレスキュー犬にとっても美しいハスキー犬、デナリという名前の犬がいました。デナリの性格は温厚でとても魅力的な子だったんですが、今までに2回譲渡されて、2回とも戻ってきました。なぜかというと、デナリは別離不安症で、家族がその子を置いて出て行ってしまうと、ガラスの窓を突き破ったり、185cmもある塀をひょいっと飛び越えて逃げ出してしまうからでした。最終的に3度目の正直で、3つめに見つかった家族が「ハスキークラブ」という地元のグループに入り、他のハスキー犬達と犬ぞりをするという活動をその子にさせてあげたんです。犬ぞりをする事で、不安なエネルギーが放出され、少しは落ち着いたのかなー。そのお家で最後まで幸せに暮らしてほしいなと願ってます。

──麻穂:ハスキーは難しい犬種ですよね。シェルターにもよく「逃亡ハスキー」が捕獲されて保護されています。大抵が常習犯ですね。わたしは個人的に寒い地域以外で飼われているハスキーたちを哀れに思います。この系統の犬種は基本的にはシベリア・アラスカなどの極限の地域で人間のために働く犬として改良された犬であって、普通の気候またはトロピカルな気候の地域の家庭のペットとして飼われるDNAではないと思うのです。でも、見た目が大変美しいのでハスキーに憧れを抱く人たちが多いですね。シェルターでもたくさんの人が一目惚れするケースが大変多いです。でも、ハスキーと幸せに暮らしたいのなら、犬種をとことん勉強して、ハスキーを飼うための必要条件(広い庭、高いフェンス、穴を掘って逃げ出さないように地盤を固める、スタミナ一杯のハスキーのエネルギーを日々消費させることが出来る運動方法、長期間犬だけにならないようなスケジュールなど)を満たす覚悟がもてるようになってから受け入れてほしいと思います。

犬は今でもそのそれぞれ違った特性を発揮します。なのでこれから一緒に暮らそうと思う犬種の歴史的背景や特性をじっくり研究することはとても大事です。くれぐれも「見かけ」「サイズ」「流行」などで判断せずに、こころも頭も柔軟に構えて犬種選びをしてほしいと思います。

後は、運動量やアクティビティーという意味の「ハイ・メインテナンス」ではなく、グルーミングなどの点でのハイ・メインテナンスな犬種も多いので、自分が今後10年から15年ハイ・メインテナンスの犬種の飼い主でいることに責任を持てるか、もしっかり考える必要があります。毎日のブラッシング、定期的なヘア・カットはもちろんのこと、頻繁な目や耳の掃除がいる犬種もあります。それらもしっかり考慮しましょう。

──Big Treeそれってとても大切なポイントですよね!特に毛が長い子の口回り、目の周りは常に短く切ってあげてほしいと思います。常に髪の毛で目が覆われている子は前がきちんと見えなくて、ビクビクしたりする結果になるかも。

──麻穂:そうそう!きちんとトリムされてないことで行動に悪影響がでること多いですよね。トリムしてすっきりしたらいい子になったって例もあるある!繰り返しになりますが、世の中の動物で、犬のようにこんなにサイズや見かけや性格にバラエティーがある動物はいないのです。最小のチワワから最大のグレートデン。また、放牧犬、警察犬、麻薬探知犬、レース競争犬、盲導犬、護衛犬などなどほんとうに様々な分野で犬種の一番の特性を能力発揮して人間のために働くこともできます。それは人間がそれぞれの犬種を長年に渡り丹念に改良してきたからであって、犬は今でもそのそれぞれ違った特性を発揮します。なのでこれから一緒に暮らそうと思う犬種の歴史的背景や特性をじっくり研究することはとても大事です。くれぐれも「見かけ」「サイズ」「流行」などで判断せずに、こころも頭も柔軟に構えて犬種選びをしてほしいと思います。

色んな犬種を勉強するためには、ドッグショーのようなイベントに参加してブリーダーさんやその犬種のファンの人から専門的な意見を聞くのもいいでしょうし、本やネットでもたくさんの情報を得ることが出来ると思います。わたしもつい先日マンハッタンで行われたAKC(アメリカン・ケネル・クラブ)主催の犬のイベントに参加してきました。160種以上の犬たちと30種類ほどの猫たちが来ていました。たくさんのお客さんもきていて、楽しいく勉強になるひと時でしたよ。自分に合った犬との出会いは一生の宝物。そのためにもホームワーク(下調べ)を怠らないでくださいね。

マンハッタンにて、アメリカン・ケネル・クラブ主催のイベントで出会ったワンコさん達

──Big Tree:麻穂さん今回もありがとうございました。犬種の性質を学ぶ事ってすごく大切ですね。知識はパワー!こういう事を自分で調べるのって楽しいです。皆さんが良い犬の伴侶と出会えます様に〜!

──麻穂:わたしもこころからそれを願います~~~!

寺口麻穂

寺口麻穂
ドギープロジェクト、オーナー、米国ニュージャージー州のシェルターボランティア、アダプション・カウンセラーなど犬のしつけ・訓練に関するスキル、犬とのコミュニケーション法、犬の心理学などの知識を備え、長年の経験を積んだ犬のスペシャリスト。アメリカで発行されている日本人向けの情報誌、U.S. FrontLineにて「ドギーパラダイス!」というコラムも連載中。
URL: www.doggieproject.com
Blog: 犬のこころ
Facebook: ドギーパラダイス!

プロフィール:1988年に大阪を出て、「英語」と「世界」を学ぶためサンフランシスコ・ベイ・エリアに上陸。大学・大学院で文化人類学を研究した後、1999年に愛車で大陸横断し、東海岸に移住。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに「子供の頃からの夢を現実に!」と犬のプロになる決意をし、人間の専門家から犬の専門家にキャリアチェンジ。地元のアニマル・シェルターでボランティアをしながら、個人でビジネスも立ち上げ、犬と飼い主がより充実した生活を送れるようその指導に日々励んでいる。11年前にシェルターから酷い虐待を受け捨てられたジュリエットという女の子のピットブルをアダプトする。この11年間、「運命共同体」としてお互いなくてはならない存在になる。2011年7月25日、沢山愛されたジュリエットは推定13歳で虹の橋へ。2012年2月シェルターにて生後5ヶ月のピットブルテリア、ノア(♂)を譲渡し、共同生活を始める。

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