【アメリカ発】ドッグマッサージセラピスト、スザキ エリさんインタビュー

「動物達の痛みやストレスをやわらげるお手伝いをさせてもらえるのはとても感謝なことだと思っています。」〜 スザキ エリ、CCMT

米国カリフォルニア州のベイエリアにて、Canine Therapeuticsフェースブックページ)という犬のマッサージセラピー&アロマセラピーを経営しているスザキ エリさんにお話を伺いました。犬(や他の動物)にマッサージをするというコンセプトは、まだまだアメリカでもそこまで一般に普及されていない様で、中にはびっくりされる時もあるそうですが、彼らにも暖かい血がながれ、筋肉があり、中枢神経を持つ「いきもの」ですので、それをほぐしたり、血行を良くする事で、癒されるんですね。〜Big Tree for Animals

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Canine Therapeutics

──Big Tree: 今日はインタビューに答えていただき、ありがとうございます。まずはエリさんが経営されている「Canine Therapeutics」で行っている業務内容について簡単に教えて頂けますか?

Canine Therapeuticsでは、スポーツマッサージ、指圧、リンパマッサージなどを取り入れた、犬のためのマッサージとアロマセラピー(エッセンシャルオイル⦅精油⦆を用いたマッサージ)をしています。

Dog Massage by Canine Therapeutics

──Big Tree: エリさんがマッサージセラピストの道に入ろうと思われたのはなぜですか?

とても利己的ですが、単純に動物のそばにいると幸せだからというのが一番大きいです。動物達の痛みやストレスをやわらげるお手伝いをさせてもらえるのはとても感謝なことだと思っています。

マッサージを受けるパンプキン

マッサージの一番のメリットは人も動物も全く同じで、血液の循環が良くなることです。それによって、「凝った」状態から楽に動かせるようになります。また、セロトニンが分泌されることによって痛みが和らぎます。血行がよくなることで老廃物を早く体外に出して、必要な栄養素が必要部位に送られるので、怪我や手術後の回復にも効果的です。

──Big Tree: なるほど、それではどれくらいの頻度でマッサージを受けるのがいいのでしょうか?また、頻繁に受ける必要はありますか?

だいたい平均して2~3週間おきに来て頂いています。それぞれ症状や年齢などにもよりますが、疲れや痛みを貯めないことが大切です。怪我や手術後の場合は、「短期間で頻繁に」が最も効果的とされているので、その場合は、最初の週に3回、次週に2回、3週目に1回、その後は回復に応じて、というプランを用いています。

──Big Tree: 健康な犬にもマッサージをする必要性はあるのでしょうか?

マッサージは健康なときにこそするべきです。動物は弱っていることを隠す野生の習性がありますから、異変に気付く頃には動物の場合、かなり症状が進んでいることが多いのです。ですから、健康な時から心がけて予防としてマッサージを取り入れていただけたらと思います。マッサージで定期的に体全体を触ることが病気の早期発見などに繋がります。

マッサージは健康なときにこそするべきです。動物は弱っていることを隠す野生の習性がありますから、異変に気付く頃には動物の場合、かなり症状が進んでいることが多いのです。

──Big Tree: マッサージをする時に、気をつけている事を順番に、簡単な理由とともに3点程教えて下さいますか?

  1. J.H.ケロッグ博士の言葉に「動物へのマッサージで技術と同じくらい大切なのは、セラピストの思いである」というのがあるんですが、これは忘れないようにしています。他のことを考えていたり、イライラしていたり、心配事があったりして目の前の動物に集中していないと、それはすぐに動物に伝わって、マッサージもそれなりになってしまいます。
  2. 言葉でコミュニケートが出来ない分、動物の意思を尊重すること。
  3. 言葉でコミュニケート出来ない分、先入観を持たないこと。

──Big Tree: エリさんは、レスキュー団体またはシェルターから来た犬達には割引(または無料)でマッサージをするという奉仕活動もなさっているようですが、その活動を決めたのはどうしてですか?

アメリカにはたくさんのすばらしいレスキュー団体がありますが、時として犬の適正検査などのハードルが高すぎると感じることがあります。餌をガードするから危険、この犬種は危険などと短期間に判断され、殺処分されていきます。そこで、シェルター滞在期間にマッサージによって少しでもストレスが緩和されたり、人から触られることに慣れて、「アダプト可能」と認められ、引き取り手が見つかる犬が少しでも増えてほしい、という思いからです。

オイルの匂いを嗅ぐパンプキン
今日のオイルはどれにしましょうか?

──Big Tree: マッサージする時に使うオイルはどのようなものでしょうか?例えば犬に使う時にどれを使うか、などどうやって決めていますか?」

エッセンシャルオイル(精油)は肌から、そして嗅覚を通して脳神経へ直接伝わるので、オーガニックの100%純精油だけを使います。犬の精神状態や健康状態などをお聞きして、それに合うものを選んだり、その時の様子から私が選ぶこともあります。そして最終的に その中から犬に選ばせます。2-3種類をゆっくり鼻先に持っていって様子を見ます。嫌いな(または必要ない)においにはあっさり顔を背けるし、好きな(または必要ありと感じる)においには興奮して今にもなめそうな勢いの時もあるので、わかりやすいです。動物は本能的に自分に必要なものをわかっているといつも感じます。

──Big Tree: 人間にはいいけれど、犬には使ってはいけないオイルというのはありますか?」

希釈さえ間違えなければオイルは全て安全です。ただ、室外犬や長時間野外で過ごす動物には光線に過敏になるためシトラス系のものは使いません。また、セイジ、ローズマリー、ペパーミントなどは高血圧の症状がある場合使えませんし、妊娠中の動物に使用する場合は獣医師の判断が必要になります。

──Big Tree: 犬のアロマセラピーとはどういうものですか?」

アロマセラピーとは、エッセンシャルオイル(樹皮、植物、根、花などから抽出された精油)を使用するセラピーで、一般的に、1.芳香、2.マッサージ、3.服用 の3種類の方法があります。オイルは種類によってさまざまなメリットがありますが、例えば気管支炎、神経痛、消化不良など身体的に効果のあるものと、うつ状態、恐怖など感情的に効果のあるものとがあります。効果的なエッセンシャルオイルを日常的に取り入れていくことによって、薬に頼らない、というオプションが生まれてきます。また、感情的、精神的に効果のあるオイルは特に虐待、飼育放棄などで傷ついた動物達に非常に役立つと言えます。

いつも感心させられるのが、(犬は)人間と違ってすぐに許すことができるところです。それは動物が「時間」という観念を持たないため、常に「今」しかないためだといいます。

──Big Tree: エリさんにとって、犬とはどういう存在ですか?」

理屈抜きにただ顔がほころんでしまうのが犬です。猫もそうですが。

──Big Tree: 犬(動物)は人間の心をとてもよく感じとる敏感で繊細な生き物だという事をききますが、エリさんはどう思われますか?

確かにそう思います。人間のその時の気分などの判断も非常に正確ですから、気をつけないといけませんね。同時にいつも感心させられるのが、人間と違ってすぐに許すことができるところです。それは動物が「時間」という観念を持たないため、常に「今」しかないためだといいます。私も「今」を大切にしたいと思うし、動物達と過ごす事ができる限られた時間を大切にしたいです。

──Big Tree: エリさんはこうして異国アメリカで、動物への奉仕に関わるビジネスをはじめられた訳ですが、日本でも、アメリカでも、動物の為に何かしたいけど、どうしたらよいのか分からない、最初の一歩がなかなか出ない・・・という方へのアドバイスがありましたら、お願いします。

エリさんの愛犬チャッキー&ドゥーイー
エリさんの愛犬チャッキー&ドゥーイー

日本とアメリカでは様々な状況が違うので、アドバイスというのは難しいんですが…。 ひとつ日本で気付くのは、まだまだ犬を「ペットショップで買う」ということが主流だということです。時々母が地元新聞の切り抜きや広告、チラシなどを送ってくれるんですが、折りたたみ広告両面に子犬とその値段がズラーっとならんでいるのを見て、とても違和感を感じました。日本に住んでいる方でしたら、まず毎日全国でたくさんの犬、猫が殺処分されているということを認識して、そのことを人に伝えていくのが一歩ではないでしょうか。例えば、「犬を飼いたい」と耳にしたら、シェルターや里親サイトを勧める。可能なら、里親になってみる。 まずは「事実を認識する」ことからはじめてはどうでしょうか。

──Big Tree: 今までエリさんがマッサージをした犬の中で、一番思い出に残っているのはどのコですか?その時のエピソードを教えて下さい。

ウェルシュ・コーギーのジャコーです。飼い主の方のボーイフレンドが、ジャコーの誕生日プレゼントとしてマッサージの予約をいれたんです。いざ、ジャコーの飼い主のお宅へおじゃましてみると、ジャコーはそばへ近寄らせてもくれません。私が動くたびに、巧みに距離を保つんです。飼い主の方は、犬のマッサージ自体に半信半疑という感じで、離れて見ているだけ。そのうち、あせってきた私は今日がジャコーの誕生日なんだから、というへんなプレッシャーを感じてしまい、かなり強引にマッサージを始めてしまいました。今、考えると申し訳ない気持ちです。人間の都合ではなくて犬の送ってくるメッセージをしっかり受け止めなければ、犬は信用して体をまかせてはくれません。マッサージを始めたばかりの頃の苦い思い出です。

──Big Tree: エリさんが「Canine Therapeutics」を経営される中で、大切にされているモットーを教えて下さい。

さきほどのJ.H.ケロッグ博士の言葉に戻りますが、手先だけではなく相手に(犬に)思いを込めてマッサージを提供するということです。

優しくマッサージを受けるパンプキン
シャイなわんこに無理強いをせず優しく接するエリさん

──Big Tree: お家でも簡単にできるマッサージを1、2個教えて頂けますか?

コンペに出る前などナーバスになりそうな犬にトレーナーの方達がよくするマッサージですが、両耳の後部をゆっくり円を描くように(顔に向かって前回り)なぞって下さい。または落ち着かせたい時(緊張を和らげたい)時には「神門」というツボが使えます。前足の一番大きい肉球の付け根(後ろ)をゆっくりと1回10秒程を目安に押してあげてください。

──Big Tree: 今後、追加したいサービスなどありますか?

グルーミングを入れていく予定で今勉強中です。健康管理、お手入れ、食事などホリスティックなオプションをトータルに提案していきたいと思っています。

エリさんありがとうございました。サンフランシスコ・ベイエリアまたはキャンベル市近郊にお住まいの方、ウチの愛犬にも一度と思われた方は是非Canine Therapeuticsにてマッサージの経験をされてはいかがでしょう?

スザキ エリスザキ エリ、CCMT (Certified Canine Massage Therapist)
犬のマッサージ「Canine Therapeutics」オーナー兼 Certified Canine Massage Therapist
URL: www.k9therapeutics.com
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アメリカ在住年数:通算21年目
プロフィール:13年ほど役員秘書やパラリーガルとして勤務後、2009年に犬のマッサージセラピストの資格を取得し、徐々にセラピーの仕事を始める。犬のチャッキー(キャバリアとペッキニーズのミックス、14歳)とドゥーイー(コッカープー、一歳)、猫のエンジェル(三毛猫、9歳)と暮らしている。

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