バックヤード(裏庭)ブリーダー達への手紙

★これは2009年12月に私のブログ掲載した記事を転載しています。

「愛する自分のペットの産む仔犬/仔猫が見たい。一度出産を経験させてみたい。出産は自然で当たり前の事だ。」そう思った事はありませんか?自分の犬は血統書付きなので、繁殖しても大丈夫。そう思っていませんか?

私がボランティアしているアメリカのレスキュー団体の代表からこんな文章が載ったウェブサイトのリンクを教えてもらいました。21st Century Animal Resource and Education Servicesという動物愛護と人間の教育を行う団体の代表であるランディ N.ワーナー氏が彼のホームページを通じて書いた「バックヤード(裏庭)ブリーダー達への手紙」という公開レターです。

この公開レターを読んだ私は「これは是非日本語にも訳して多くの方々にも読んで頂きたい!」と思い、日本語へ翻訳してみました。そしてワーナー氏に許可をとり、その翻訳を当時の私のブログに載せることにしました。

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この手紙を載せる事にした私の趣旨ですが、現在ブリーダーさんやペットショップから買った犬達と暮らす人達を見下したり、責めたり、”保護犬と暮らす私” 偉いでしょ!と自慢したいという事ではありません。これを読む方々の中には「今の子を買った時にはこの現状を知らなかった。」または「ショーウィンドウにぽつんと売れ残った子を助けたかった。」という方々がほとんどだと思います。人は本当は心優しく、深い愛情を持っていると思います。ただ、知識がない為に、または想像力を使わない為に、今のような現状がおこっているのかなとも思います。

動物は売り買いする”モノ”ではない。まして人間にそんな事をする権利は与えられていない。ヒトは動物よりも重要であるという考えが当たり前の事としてあるのは、悲しい事だと思います。彼らは尊敬に値する存在であるという事を、これからの将来を担う子供達にも伝えてゆきたいですね。という事で、長くなりましたが、私の趣旨は、「この現状を知った今、どうするか、今後どのようにしてゆくか。」を考えてもらう事です。

この手紙が一人でも多くの人間に知識を与え、そして一匹でも多くの動物達の無駄死にを防ぐ事につながる事を心から祈っています。

【この翻訳についての免責条項】
この翻訳はプロの翻訳家ではない私が訳した文章であり、ワーナー氏ご自身がこの翻訳を確認した訳ではありません。どうぞ最終的にはワーナー氏が書かれた英語バージョン (http://www.21stcenturycares.org/backyardbreeders.htm)を参照して下さい。

バックヤード(裏庭)ブリーダー達への手紙

私は動物愛護関連の教育の為の教材を執筆している人間です。過去22年間にわたり、ありとあらゆる犬種のフォスター(里親:最終的な家族が見つかるまでの一時預かり)や、(精神的、肉体的に)傷ついた犬達のリハビリ活動やレスキュー活動をしてきました。ダルメシアンは私にとって特別な犬種ですが、その他にも沢山のレスキューや訓練活動をしてきました。こうした経験から、今日、娯楽と利益の為に行われているブリーディング(繁殖)について声を上げたいとおもいます。これを読まれる皆さんの中には、これを読んできっと心外に思われるかたもいらっしゃると思いますが、私にとってはそれはむしろ良い事で、これをきっかけにこの問題解決の手助けになるかも知れないと思っています。また、これを読んで手を投げ出し、私がこれから書く文章の内容に嫌悪感を表す方々もいらっしゃるでしょう。しかし、その方達こそが、この手紙を一番読んで頂きたい方達なのです。これから私がお話する事が真実かどうか、動物愛護活動に関わる方に聞いてみて下さいー世界中どこでもです。

そして、これを読んで個人的に気分を害された方々には、是非ご自分の行動をもう一度注意をもって確認して頂きたい。それはあなたこそが、この手紙の受け取り人だからです。もし、私のメッセージに否定的な感想、意見を述べたいと考える方々に私から言える事は、(あなたがお持ちのご意見は)多くの経験や知識を持つ私や、その他の動物愛護に携わる皆さんからの同情と、良い返事を期待することはできない、という事に気づかれると思います。今日、私がこうして声を大にしてこのお話をするのは、私個人だけではなく、世界中のレスキュー団体、非常に限られた「尊敬にあたいする」ブリーダーの皆さん、そして責任を持ってペットを飼っている人々の為です。謙遜して、「私のつたない意見としては」などという表現も使わないつもりです。なぜなら、これからお話する事は「尊敬にあたいする」ブリーダー達、責任あるペットの飼い主さん、そして米国動物虐待防止協会(ASPCA -American Society for the Prevention of Cruelty to Animals 」や米国動物愛護協会(Humane Society of the United States)また、全米のレスキュー団体、愛護団体などの間でも幅広く唱えられているからです。

バックヤード(裏庭)のブリーダーとは:

  • 楽しみや利益、または自分の犬をうっかり妊娠させてしまった人たち全ての事です。
  • 知識が足りない為に、アメリカ・ケンネル・クラブ(American Kennel Club )からの血統書があるという事で、その犬の繁殖の質が高いと思っている方々。それは、とんでもないお話です!!
  • 自分の家で産まれた子犬達を販売する為の広告を地元の新聞に出した事のある人たち。本物のブリーダーは専門の「トレード・マガジン」でしか広告を出しません。
  • 自分の管理の元で産まれた子犬達にいい飼い主を見つけさえすれば、ルールや責任を果たしていると思う人。あなたが飼い主を見つけてあげた子犬達の多くは、長年に渡り虐待や放置の結果、結局保健所に入れられる結果になるのです。
  • 自分の管理の元で産まれた子犬達をほしがる新しい飼い主さん達が、優しそうに微笑み、誠実そうで、「大切にかわいがります!」と約束したからといって、彼らのバックグラウンドのチェック(身元調査)や法的強制力のある契約を結んだり、その後の再チェックを行わない人。これらは悲しい結末になってしまう完璧な筋書きです。
  • エゴや見栄で正しくもない犬のケアの情報を新しい飼い主に教えたりする人たち。
  • 本物のブリーダーは、証明書やトロフィーなど、過去長きにわたり受け取ったドッグショーにおける功績を証明するモノが沢山あるはずです。

毎年8億匹を上回る健康な動物達がシェルターや保健所によって殺されています。その中の大旨の犬達は不妊・去勢処置によって簡単に免れた命達です。安楽死というのは、アメリカにおいて、犬の死の一番の理由であり、毎年27億匹もの犬達が産まれているのです。その中で「余り」と見なされる8億匹が殺されています。それは計算すると一ヶ月に7500匹と言う事になります。この数にはどこかの街角で見捨てられて、無視されている亡骸達や、増え続ける動物病院での安楽死、そして数百、数千ともいわれる放置されている動物達の数は含まれてはいないのです。

そして、あまりにもひどい放置や虐待を受けている子達は、シェルターにすら到達できずに、安楽死という道にも到達しない子達もいるという事を忘れないでおきましょう。10億という数の犬は統計の上では「引取先がない為に殺さなければいけない(!!!)」という犬達です。この中のほとんどはまだ若く健康な子達です。実際の所その中のほとんどの子達が1歳以下であるという事です。何が問題なのか?ーそれはとてもシンプルな事です。「犬の数が多すぎるのです。飼い主になれる家庭の数に比べると犬の数が多すぎるのです!」そしてその結果、私たちが出した解決策が「多すぎる犬達を殺す」という事です。この「解決策」は今やデフォルトとして、この悲惨な状況を管理するのに他のオプションがないかのように受け入れられています。そして、我々は一年に1,000億ドルというお金を使い「人間のベストフレンド」を殺しているのです。常識を持って見れば、この現実と討論したり否定する事はできないはずです。もしあなたが過去20年間において「ペットを作り出す」という団体の一部であり、その「作りすぎた商品を処分」しなければならなくなっているとしたら、どのような解決策を提示しますか?もしあなたが、これだけ多くの数の無実で愛すべき動物達を殺しているのを知っているのならば、これ以上子犬や子猫を産み出す事が許されるのでしょうか?

どうしてこのような状況がアメリカで起こっているのでしょう?このような状況になっている一番の原因はパピーミルではなく、バックヤード(裏庭)ブリーダーなのです。この名前(バックヤード(裏庭)ブリーダー:自分の家で飼っている犬に子供ができ、飼い主を探している事と地元の新聞で広告を出している人達全て)非常に不人気になり、誰もが自分がバックヤード(裏庭)ブリーダーである事を認めたがらなくなりました。ほとんどの人達はこの部分の問題を知らないのです。私がこれを書いたのはこの事実を公表したかったからです。

無実な動物達を無意味に殺す事を止めるたった一つの方法は、この不必要なブリーディング(繁殖)を止める事なのです。 アメリカ・ケンネル・クラブにて認識されている犬種は、その犬種の見た目(サイズ)、性格などについて、全て綿密に表示されています。これらの基準は健康、気質そして見た目全てがその基準にあった、またはそれを上回る犬達を作るという事を理解する為にあるのです。そしてこの基準にきちんと従っていることを確認するには、その犬種に対する何十年もの知識を持った人達に判断される必要があるのです。もしあなたの犬が(歴史のあるドッグショーの)正式なジャッジ(審判員)の前に立った事がないのならば、あなたの犬は本物のアメリカ・ケンネル・クラブの基準を満たす犬という事ではなく、「ペットとしての性質を持つ犬」だという事なのです。(それはそれでまったく問題はありません。)ここで言いたいのは、アメリカ・ケンネル・クラブによる血統書があるからといって、繁殖に使える犬であるという事ではまったくないという事なのです!

ペットというものは愛され、大切にされ、きちんと訓練され、世話をされ、(訳者注:良い意味で)甘やかされそして他の人達に自慢したいくらいの存在であるべきで、決して繁殖に使われるべき生き物ではありません。いくらその子が可愛らしく、温厚な性格であろうとも、その犬がきちんとした基準にそった犬でない限り、繁殖に使われるべきではないのです。あなたの犬が純血種であったとしても繁殖してもよいという事でもありません。実際に、ほとんどの純血種は繁殖に使われる程の品質ではありません。もしあなたがペットとしての性質(品質)を持つ犬を繁殖させたならば、あなたこそが バックヤード(裏庭)ブリーダーになるのです。その子が実際に裏庭で産まれようとも、車庫で産まれようとも、リビングルームで産まれようとも、どれだけ高価なホテルの一室で産まれようとも、「バックヤードブリーダー」という言葉に代わりはないのです。あなたのペット品質の犬がアメリカ・ケンネル・クラブによる血統書を持っていたとしても、耳には聞こえが良いですがこの事実は変わらないのですーそれでもこの犬を繁殖につかう権利はありません。いくらあなたの犬に500ドル(約5万円)の価値があったとしても、それでも繁殖に使う権利はないのです。

あなたがその犬を買う為に使った500ドルを投資と考え、そのペット品質の犬を繁殖によって取り返すことができるとお思いですか?または、あなたの犬は色やサイズが基準に沿っていないけれど、繁殖して可愛い子犬達を産めば、きっとみんなその子達を欲しがるだろうと思っていますか?なんて恥ずかしい勘違いなのでしょう!これであなたは自分の満足や利益の為に繁殖を行う正式な「バックヤードブリーダー」です。なんて見下げはてた行為なのでしょう!!!

もし尾切りや、耳の端を切り取る手術の費用が高すぎると感じるのなら、あなたの愛する犬が緊急に帝王切開での出産が必要になった時どうしますか?そのような手術が必要であるという事を知るだけの知識がありますか?そして、状況が悪くなりすぎる前に獣医の助けを得られるだけの経済力がありますか?
それでもまだあなたのペットの繁殖をしたいのならば、以下の事を自分自身と確認してみてください。「誰が新しく産まれてくる子犬達の尾切りや耳の端を切りをするのか?」ご自分に問いただして下さい「私は一体なんて事を考えているんだろう?」と。

「バックヤードブリーダー」は犬種の標準レベルに達していない子犬を売る人達の事です。子犬達を売る理由は数々あります。しかし、その中のどの理由付けも(最終的に)その犬を殺す事になる原因になる事を考えれば、十分な理由にはなりません、それだけです。

「バックヤードブリーダー」は彼らの所で産まれた全ての子犬達が素敵なお家にもらわれてゆく、と言うでしょう。彼らは本当にそう思っているのです。しかし、それは必ずしも本当にそうなるとは言えません。子犬の中の何匹かは、ラッキーでとてもいい家にもらわれてゆくでしょう、しかしその中の半分以上の子達はシェルター(保健所)の冷たい台の上で、足に針を刺されて死んでゆくのです。(訳者注:その他沢山の保健所、シェルターではガス室にての窒息死、10分程もがき苦しみ、死にきれない場合は生きたまま焼却炉にほおりこまれるというのが、日本の現状です。)何故、こんなことが?なぜなら「バックヤードブリーダー」 達は子犬達のアダプション(嬢渡会)で、新しい飼い主を選ぶ際に聞かなければならない面接の質問の数々さえも知らなかったり、新しい飼い主の所に行った子犬達の、その後のチェックを怠っていたりするからです。新しい「良い飼い主」たちも次第にその犬に興味がなくなり、その犬を引き取ってくれる人なら誰にでもその犬を譲ってしまうのです。こうして、あなたの「愛する子犬達」は寒い裏庭で無視され、孤独のあまり一晩中鳴きわめき、近所からの苦情があると、それで終わりです。犬の中には飢え、そして暴力を振るわれ、そして死ぬまで何度も、何度も子犬を産まされ続けるのです。その中のいくつかの犬達は、私の管理するようなレスキュー団体に保護され、私達がその子達の為に新しい家族を見つける事になるのです。その子に愛情を与え、人間のすべてが悪い存在ではないという事を教え、トレーニングを行い、きちんとした食事をあたえ、心身ともに癒してあげるのです。身体についたノミを取り除いてあげ、寄生虫の治療をし、誰も覚えていてくれなかった必要な予防注射をしてあげるのです。私たちレスキュー団体は、「バックヤードブリーダー」がしなかった、これらの事を彼らに変わって行っているのです。私たちは、この犬達が新しい飼い主の所にいく前に、不妊・去勢処置を行います。そうすれば、この犬が万が一、また他の「バックヤードブリーダー」の手に回った時に、この犬を使って収益を得ようなどと思わないからです。

「バックヤードブリーダー」は責任感のあるペットの保護者ではありません。「自分の犬達を愛している。」と言うかもしれませんが、それは本当ではありません。なぜなら、倫理的に繁殖する為にしなければならない全ての行程を行っていないからです。ただ、「私はミニチュア・シュナウザーのブリーダーです。」と誇らしげに人に言う時に感じる自分の重要性が好きなだけです。犬の繁殖をするのはそんなに誇りに思う事でなないのです。本当は社会の恥なのです。保健所で殺される犬達の原因だからです。どうしてそんな事の原因の一つになりたいのですか?あなたは、みんなから尊敬されたいですか?それならば、どうかあなたの犬に不妊・去勢処置を行って下さい。それ以外の選択はありません。本当に「良い飼い主」はあなたのような所から犬を買う事はありません。なぜなら、本当に責任を持ち、尊敬され、 その犬種の為に繁殖活動を行っているプロから買う事を選択するからです(訳者注:または嬢渡会で里親募集の動物達を飼うという選択もあります)。あなたの所から犬を買う人達のほとんどは、私の団体で保護されている犬達を飼うに値しない人達で、しばらく経って、刺激がなくなった時に保健所にその犬を捨てにいくような人達です。これらは本当に証明された事実なのです。アメリカで一ヶ月に一億匹の犬達を殺す事を止めたいですか?ただちにあなたの犬の不妊・去勢処置を行って下さい、そしてその事を周りの人達に伝えてあげて下さい。そして犬の繁殖活動はその犬種の為に行っている本物のブリーダーに任せてください。

あたなのお子さんに、小さな子犬達を使って、「命の奇跡」を見せたいですか?それならば、どうか、正当で正直に、お子さんと一緒に30日たったら安楽死させられてしまう保健所(訳者注:現在はたった1週間または2、3日で時間切れで処分という保健所も沢山あります。)でボランティアをして、「死の奇跡」を見せてあげて下さい。

「バックヤードブリーダー」として、あなたが影響している(原因になっている)のはこういう事なのです。アメリカ全土で見られるこの大変大きな問題の原因はあなたなのです。

Randy N. Warner(ランディ N.ワーナー)
President(代表)
21st Century Animal Resource and Education Services

長い文章を読んでくれてありがとうございました。
けっこう辛口な公開レターですが、やはり22年間色んな事を見ていると、分ってほしいという気持ちが強くなるのだと思います。

これを読んでどう感じましたか?
今の私のできる事。」沢山あると思います。

時間がある方は「信頼のおけるブリーダーとは?」も是非参考になさって下さい☆
みんなで明るい、優しい世界を作ってゆきたいですね。

フリー素材:ヒバナさんよりお借りしています。ありがとうございました★

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