T-タッチとは
T-タッチ(テリントン・タッチ)は、リンダ・テリントン・ジョーンズ氏によって1970年代に開発された、動物のためのボディワーク手法です。この手法は、円を描くような軽いタッチと優しい動きを組み合わせたもので、動物のストレスを軽減し、健康を促進することを目的としています。
T-タッチはマッサージではなく、動物の神経系に働きかけることで身体的・精神的なバランスを整える方法として知られています。このメソッドは、馬のトレーニングから始まり、現在では犬、猫、鳥、爬虫類など様々な動物に適用されています。
リンダ・テリントン・ジョーンズ氏はモーシェ・フェルデンクライス博士が開発した「フェルデンクライス・メソッド」(人間向けの身体意識を高める手法)からインスピレーションを得て、動物向けにこの手法を発展させました。
私は犬にしてあげられるTタッチの本「Getting In TTouch With Your Dog」を持っていますが、日本語版は残念ながら出版されていないようです。イラストと共にとてもわかりやすい本です。
T-タッチの目的と考えられる効果
T-タッチを行うことで期待される効果としては以下のようなものがあります:
- ストレスと不安の軽減
- 恐怖心の緩和
- 身体的な痛みの緩和
- 行動問題の改善
- 回復の促進
- 信頼関係の構築
T-タッチの基本テクニック
T-タッチには様々な種類がありますが、基本的なテクニックとしては以下のようなものがあります。始める前に飼い主さんも何度か大きく深呼吸してから始められるといいかと思います。
1. クラウドタッチ(雲のタッチ)
動物の体に軽く手を置き、皮膚を円を描くように動かします。これは時計の文字盤に例えられ、1時と1/4周(1と1/4)の位置まで皮膚を動かした後、元の位置に戻します。このタッチは非常に軽く、皮膚だけを動かすイメージで行います。
2. リフトタッチ
皮膚と皮下組織を一緒に持ち上げて、軽く円を描くように動かします。緊張した筋肉をほぐすのに効果的とされています。
3. スライディングタッチ
手を動物の体の上でゆっくりスライドさせながら、少しずつ前に進んでいきます。全身の血液循環を促進するのに役立つとされています。
T-タッチの動画
実践方法
準備
- 静かで落ち着いた環境を用意する
- あなた自身もリラックスした状態になる
- 動物が心地よいと感じる場所から始める(多くの場合、耳の付け根や首周り)
基本的なステップ
- まず、動物に優しく話しかけて近づく
- 軽く手を置いて、動物の反応を見る
- リラックスしていることを確認したら、円を描くような動きを始める
- 1〜3秒で1周するペースで行う
- 動物の反応を観察しながら、場所を少しずつ変えていく
- セッションは短く(5〜10分程度)始め、徐々に長くしていく
注意点
- 動物が嫌がる場合は無理をしない
- 手術後の傷や炎症のある部位は避ける
- 予期せぬ反応があった場合はすぐに中止する
日本でのT-タッチ
日本でもT-タッチは広まりつつあり、日本テリントンTタッチ協会では、定期的にトレーニングプログラムを提供しています。
日本語で出版されている本
認定されているプラクティショナー
まとめ
T-タッチは、動物との絆を深め、彼らの健康をサポートする方法として世界中で実践されています。この優しいボディワークを通じて、動物たちの健康と幸福をサポートし、より深い信頼関係を築いていくことが期待されています。興味のある方はぜひ試してみて下さい。