ペットロスは乗り越えるべき事なのか?

2020年9月1日の深夜、約15年間共に暮らしたチワワ(#元保護犬)を見送りました。もうすぐ16歳という年齢でしたし、肝臓や腎臓の持病もあったので覚悟はしていたつもりでしたが、突然具合が悪くなり、そこから2、3日でお別れになってしまいました。

深夜に動物病院で亡くなったので、*彼の身体はそのまま病院から火葬サービスに送られ、数週間後に遺灰となって帰ってきます。その日、夫と二人で泣いて疲れた身体で愛犬のいない家に帰宅してからの一週間をどう過ごしたのかあまり覚えていませんし、思い出したくもありません。ただただ、亡くなった愛犬が心配しないように、「前を向かなければならない」と必死だった記憶があります。

私は身体は亡くなっても魂は永遠だという考えですし、目に見えなくても彼の魂は今この瞬間にも存在し、今までと同じように私たちを愛してくれていると思っています。

ですがあのひょうきんで、愛おしくかわいい存在を目で認識できなくなったり、ドッグベッドに染み込んだ彼の独特の匂いがだんだん消えていく・・・。その過程はやっぱりしんどいものでした。胸や喉に何かが詰まっている感覚があり、深呼吸を何度もしていたのを思い出します。そんな中でも私は必死で「彼は死んでない。魂は永遠だ」と自分に言い聞かせていました。

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あれほど大好きだった愛犬を失った時のあの気持ちはもうしばらく味わいたくないし、次の犬を迎えるなんてできるのかな?と思ったりしていました。きっとフォスター(保護犬の一時預かりボランティア)でもするんだろうなと考えていました。

しかし、愛犬の死から3ヶ月経ったある日出会いがありました。

私は地元のレスキュー団体のウェブサイト運営のボランティアをしています。(里親、フォスター以外でもできるボランティアもご覧ください♫)新しい保護犬がレスキューに入ってくると、ホームページに掲載するための写真やその子の状況報告が送られてくるのです。ある日その写真を見た時、「あ、この子は見逃したくない」と思った子がいたのでした。

最初に見た写真

ドキドキしながらも、夫と話し合った後、レスキューの代表にメールをし、「フォスター兼譲渡をしたい」と連絡していました。

あれよあれよと決まり、新しく家に来た子は推定5歳。2.5キロという小さな身体でしたが、”ストレイ” (Strey—さまよっているところを保護された子)としてシェルターにて保護された後、レスキュー団体に移ってきた子で、ノミ皮膚炎にかかっており、下半身の毛が抜けて、黒くなった皮膚が見えていました。今までどんな生活を送ってきたのかはわかりませんが、多少情緒不安定な部分もなきにしはあらずでしたが、基本的には落ち着いていて、自信もあり、ひょうきんでな子でした。

ノミ皮膚炎により毛が抜け黒くなった皮膚。前歯を使って痒いところを掻いていたのか、ぐらぐらの歯が多い状況でした。(追記:歯の状態は思っていたより悪く、のちに獣医さんにて歯のクリーニングの際、24本も抜歯しました。)

最初の数週間は1日ごとに薬用シャンプーで身体を洗っていましたが、栄養のあるご飯を食べ、散歩をし、遊んで楽しく暮らしていると、皮膚病も治り、5ヶ月ほど経った今では毛も生えてきてフワフワの犬になりました。

このように、思いがけない出会いがあり、日々を過ごしながらも、亡くなった愛犬たちの事は今も毎日のように自然と思い出しています。彼らとの思い出は、我が家の様々なところから湧き出てきます。今でも写真や動画を見ると涙が出ることもあるし、どうしても会いたくなることもあります。

でも私はそれはそれでいいと思っています。

ただ、そんなふうに感じている私を、暖かく見つめる「私」という存在もいて、きっとその横には愛犬たちの魂がいて、あの健気な黒い瞳で私を見ててくれるのかなぁ、なんて想像しています。

──ペットロスは乗り越えるべきなのか?

どうなんでしょうね?どうやってペットを亡くした悲しみと向き合うのか、いろんな人がいる中で、人それぞれでいいと思います。

そんな事より、愛する存在に感謝しながら、また会える時が来るまで “今” を過ごす。これに尽きるのかなと思います。

アメリカでペットが亡くなるとき

*アメリカではペットが病気で亡くなる際、動物病院での安楽死が多い印象です。もちろんペットの安楽死後、その個室でペットと家族だけにしてくれて、最後のお別れをする時間は好きなだけもらえますが、その後ペットの遺体を獣医さんの所に置いて帰宅しなければなりません。日本ではペットと一晩一緒に過ごす時間を持つのが一般的な印象があります。この違いは宗教とか文化の違いなのだと思いますが、アメリカで2匹の愛犬をアメリカ式(?)で看取った後感じるのは、やっぱり一晩彼らの亡骸と共に過ごす時間は、残された家族にとっても死を受け入れる貴重な時間となるのかな、と思いました。アメリカ人の夫に聞いたら、彼にはそういう感覚はなく、遺体と一緒に一晩過ごすのは辛すぎるという感覚のようでした。どちらが正しいかではなく、単純に興味深いなと思いました。

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