皆さん、こんにちは。今日は、アメリカでケージフリーとしては最大規模を誇る犬の保護施設、ビッグ・ドッグ・ランチ・レスキュー (Big Dog Ranch Rescue) について紹介します。「犬は人間の親友」という言葉がありますが、ビッグ・ドッグ・ランチ・レスキューはまさにその言葉を体現している素晴らしい団体です。〜Big Tree for Animals
ビッグ・ドッグ・ランチ・レスキューの歴史とミッション：犬たちの未来を変える
ビッグ・ドッグ・ランチ・レスキュー（以下BDRR）は、2008年にフロリダ州で設立されました。創設者のローリー・シモンズ (Lauree Simmons) 氏は、地域の殺処分施設で多くの健康な犬たちが命を落としている現状を目の当たりにし、「この状況を変えなければ」と決意、ビッグ・ドッグ・ランチ・レスキューを立ち上げたそうです。
BDRRの核となるミッションは、「すべての犬に愛と安全な居場所を提供すること」。このミッションを達成するため、以下の4つの柱を中心に活動しています：
- 保護 (Rescue)：虐待や遺棄された犬、災害で家を失った犬などを救出します。
- リハビリ (Rehabilitate)：専門家による心身のケアで、犬たちを癒します。
- 教育 (Educate)：適切な犬の飼育方法や動物福祉の重要性を広めます。
- 立法 (Legislation)：動物保護法の制定や改善に向けて働きかけます。
ビッグ・ドッグ・ランチ・レスキューの特徴
BDRRが他の保護施設と一線を画している点がいくつかあります。
- 全米最大級の規模：
- 33エーカー（約133,546㎡）の広大な敷地を有しています。
- これは東京ドーム約3個分の広さに相当します！
- 現在３つの州に施設があります：
- ケージフリー環境：
- 犬たちは檻に閉じ込められることなく、自由に動き回れます。
- これにより、ストレスが軽減され、リラックスし、自然な行動を取りやすくなります。
- 所有する３つの州にあるキャンパスに暮らす犬たちの数はなんと1600匹以上！
- ノーキルポリシー：
- どんな犬も殺処分されることはありません。
- 治療が困難な病気の犬も、最期まで愛情を持ってケアします。
- 充実したプログラム：
- 獣医による医療ケア（年間で7000匹もの犬が治療を受けています。）
- 2024年には1438匹の母犬と子犬たちの命が助けられました。
- スタッフが常駐する家庭的な保護施設で現在346匹のシニア犬とホスピス犬がちがお世話されています。
- 犬の行動専門家によるリハビリテーション
- プロのドッグトレーナーによる基本的なしつけ
- 里親とのマッチングプログラム
- Doggy Day Outプログラム：短期間で社会貢献ができる、保護犬を外に連れ出すプログラム
- 「Doggy Day Out」プログラムは、1時間から1日という短期間で保護犬を外に連れ出すことができるユニークなボランティア活動です。このプログラムは、長期でフォスター（一時預かり）が難しい人にも、社会貢献ができる機会を提供しています。
- このプログラムは、保護犬にとっても非常に有益です。ビーチや街中で新しい経験をすることで、犬たちはストレスを軽減し、社会性を高めることができます。また、犬の性格や行動をよりよく理解することで、里親とのマッチングもスムーズになります。
- このようなプログラムは、保護犬の生活を豊かにし、里親を見つける手助けをするだけでなく、ボランティア自身も楽しい時間を過ごせる素晴らしい機会です。
- 現在建設中：教育とイノベーションの納屋（プログラム名は未定）。犬のホームレスをなくすために未来（子供達）を教育します。
- 獣医による医療ケア（年間で7000匹もの犬が治療を受けています。）
- 傷痍軍人のためのサービス犬トレーニングプログラム：
- 傷痍軍人のメンタルヘルスをサポートするための特別なプログラム。
- 退役軍人犬訓練プログラム: サービスドッグとして160 匹以上のしっかりと訓練された犬たちが、障害を持つ退役軍人とペアになり、彼らの毎日の生活をサポートします。このサービスは無償で退役軍人に提供されます。BDRRは保護犬たちが新たな使命を持って活躍できる機会を提供しています。
- 現在建設中の「エレイン & ケン ランゴーン・パトリオット・ペット・ボーディング・ロッジ」では、サービスドッグの訓練施設の拡大のための施設と、これから米国の軍隊に出征する兵士の飼い犬たち82匹を預かる施設として使われる予定です。
これらの取り組みにより、BDRRは2008年の設立以来、73,000匹以上の犬たちを救ってきました。この数字は、毎年約4,500匹の犬たちが新しい家族と出会っていることを意味します。
近年の厳しい経済状況とインフレにより、ペットを手放す飼い主が60%増加し、安楽死率も80%上昇しています。今年だけでも、BDRRは殺処分率の高い郡の保健所から2,000匹以上の犬を救出しました。このような状況下で保護活動の必要性はかつてないほど高まっており、アラバマ州にも100エーカーの施設を新たに設立するに至りました。
自然災害救援活動
BDRRは2024年9月に起こったノースカロライナ州とフロリダ州の災害、またカリフォルニアの火事とテキサス州の寒波にて、BDRRが所有する大型バスを現地に入れ、200匹以上の犬を救出するなど素晴らしい活動を続けています。
テキサス州の国境救助活動
また、BDRRはテキサス州とメキシコの国境で置き去りにされた犬たちを救う活動をしています。移民によって置き去りにされた犬たちは、飢えや怪我に苦しみ、交通事故や虐待に遭うなど、過酷な状況に置かれています。特にテキサス州ヒューストンの外側にあるコロニー・ロッジでは、数百匹の犬が想像できないような悲惨な状況にあります。BDRRは、現地のレスキュー隊員のためにシェルターを設置しましたが、断熱材、床、電気配線、空調設備などが不足しています。犬たちに安全な避難場所を提供し、救出するために、寄付を呼びかけています。
パピーミルからの救助活動
2024年、921匹の犬が悲惨なパピーミルの環境から救出されました。劣悪な状況で保護された犬たちが獣医師の治療を受ける様子を見守りながら、創設者のシモンズ氏は言います──。
だからこそ、ブリーダーは規制され、検査される必要があるのです。これは犬たちにとってまさに拷問です。どれだけ長い間苦しんできたか誰にもわかりません。こんなことはもう終わりにしなければなりません。
BDRR創設者、ローリー・シモンズ 氏
4000匹に及ぶ犬たちがレスキューパートナー達によって安全な場所へ移動しました。必要な治療やリハビリ、トレーニングを得て、生涯愛してくれる家族のもとへ譲渡されてゆきます。
2024年のBDRR活動をまとめた動画
72,000匹もの犬たちを救ったBDRRの活動に心から感謝です。
BDRRの具体的な活動内容
- 犬の保護・飼育：
- 地域の殺処分施設からの救出
- 虐待や遺棄のケースへの対応
- 災害時の緊急救助活動
- 医療ケア：
- 24時間体制の獣医クリニックを完備
- 予防接種、去勢・避妊手術の実施
- 重度の疾患や怪我の治療
- 行動リハビリテーション：
- トラウマを抱えた犬たちへの専門的なケア
- 社会化トレーニングの実施
- 里親マッチング：
- 犬の性格と里親の生活スタイルを考慮したマッチング
- 里親候補への事前教育と適性確認
- 教育・啓発活動：
- 地域の学校での動物愛護教育プログラム
- 一般向けの犬の飼育セミナーの開催
- 立法活動：
- 動物虐待の厳罰化を求める法案の支援
- ペットショップでの犬の販売規制に関する働きかけ
地元の動物愛護団体を応援する方法：あなたにもできること！
日本にも動物救助のために活動する団体がたくさんいます。それらの団体をサポートする方法はいろいろあります。皆さんもぜひ考えてみて下さい。
- 寄付をする：
- 一回限りの寄付
- 毎月寄付して支援を続ける
- 物資の寄付：フード、毛布、おもちゃなどの提供も歓迎
- ボランティアに参加する：
- 犬の世話：散歩、グルーミング、給餌など
- イベントスタッフ：里親会や募金イベントの運営補助
- 専門スキルの提供：写真撮影、ウェブデザイン、マーケティングなど
- 里親になる：
- 一時的な里親（フォスター）：数週間から数ヶ月の期間で犬を預かる
- 永続的な里親：犬を家族の一員として迎え入れる
- 広報活動：
- SNSで活動を紹介
- 友人や家族にペットの譲渡を勧める
まとめ：小さな一歩が大きな変化を生む
ビッグ・ドッグ・ランチ・レスキューは、一匹一匹の犬たちに寄り添い、新しい人生のチャンスを与え続けている素晴らしい団体です。彼らの活動は、単に犬を救うだけでなく、人間と動物の絆を深め、より思いやりのある社会を作ることにも貢献しています。
私たち一人ひとりに何ができるのか──SNSで情報を拡散したり、友達と一緒にボランティアに参加したりするだけでも、大きな力になります。一人ひとりの小さな行動が、多くの犬たちの人生を変える可能性を秘めているのです。
ぜひBDRRの公式サイトをチェックしてみて下さい。
