生き物と暮らすと必ずやって来る別れの時。今回は読者の方に頂いた「老犬との暮らし」についての質問を麻穂さんに聞いてみました。麻穂さんが約11年前にアメリカのシェルターで出会った愛犬ジュリエットさんは、今年7月、大好きな麻穂さんの側で、眠る様に虹の橋へ渡りました。ジュリエットさんの旅立ちからまだ日が浅い時に、色んな質問に答えて頂き、ありがとうございました。ジュリエットさんの思い出がこうして当サイトに残る事を嬉しく思います。 〜Big Tree for Animals
──Big Tree:7歳を過ぎると動物病院ではシニアと言われたりしますが、実際に体力や見た目に顕著に老いが見えるのはどのくらいの時期から?(個体差があると思うので平均的にお願いします。)

──麻穂:シニアと考えられる年齢は犬のサイズで違ってきますが(犬はサイズで平均寿命がかなり違うので)、犬がシニア期に突入すると鼻や目の周りに白い毛が出てきますね。最初は顔から始まり、そのうち段々身体にも現れ、我が家の愛犬ジュリエットの場合は、ものすごく老いてきた時には濃い色のまつげも白くなりました。わたしの経験からは、顔に白髪が現れてもすぐに「がくっ」と体力も衰えるわけではいと思います。それでも白髪が出てきたら「シニア」と考えて対処していってあげるべきですよね(食事、運動、チェックアップの回数、家庭自己検診の頻度など)。
もっと顕著な老化は、足腰の衰退でしょう。ジュリエットが10歳前後のある夜、シェルターから戻るとベッドでぶるぶる震えていて、抱き下ろそうとした時にめったに悲鳴をあげない彼女が「キャイン」と言って驚きました。最初は熟睡中にベッドから落ち背骨でも傷めたのだと思いましたが、レントゲンの結果、若い時に虐待されて骨折、そして自然治癒した右のお尻の骨が老化によりArthritis(関節炎)という形で痛みだしていると分かりました。それからはずっとその関節炎と付き合っていくことになりました。他には、年齢を重ねるとFatty Tumor(脂肪のしこり)の数が身体中にどんどん増えました。幸いにジュリエットのしこりはどれも良性で、大きくなることもありませんでした。

最近では犬の寿命も長くなったことから、少し前ではほとんど聞かなかった犬のDementia(認知症)を患う犬の話をよく聞きますし、ジュリエットも12歳頃から、色々な認知症の症状を見せました。ドアの開かない方に行ってじっと開くのを待ったり、椅子やテーブルの足に身体を絡め入り、出ようとしてもがいたり、部屋の角で壁に顔を向けたままずっとじっとしていたり、たまに壁にむかって弱い声で「わん」と吠えたりもしていました。
それから13歳くらいから、おしっこが近くなりました。(*おしっこに関しては後で詳しく書かれています)
──Big Tree:女性オーナーで、マンションのトップフロアー(4階や5階)で7歳の大型犬を飼っています。エレベーターは残念ながらありません。大丈夫か少し不安です。
──麻穂:結論から言うと、これから厳しいかもしれません。わたしが老犬との生活で発見したのは、犬は老いてくると階段が苦手になるようだという事です。上り坂以上にかなり困難なようです。きっとバランスの関係からも来てるものかもしれません。ジュリエットがArthritis(関節炎)を患っているとわかってから、ベッドの横に3段のペット用ステップを設置しましたが、結局こちらが想像していたようにうまく利用して上ってくれませんでした。この間まで住んでいた家は一階でしたが、前庭に出るのに3、4段の階段がありました。ジュリエットがその階段を「ふ~」っと眺めだした時、その大変さが伝わってきました。今年に入ってからは、わたしが抱かえて上り下りする回数が断然増えていました。引越し先を探す際も、一階で段差がないところを探しました。
わたしの場合はラッキーにも3、4段の階段で済みましたし、ジュリエットの体重が激減していたのでなんとかこなせましたが、あれが2階以上だったら・・・と思うことが多いです。しかし、そのために家を引っ越すことが、どれほど大変なのかもわかりますので、今からできるだけ他の可能な選択肢を探しておくことでしょう。私のまわりで、階段の多い場所に住んでいる人は、「いざという時は家族・親戚で階段の極少ないところに犬だけ預かってもらって通って世話をする、または一緒にお世話になる段取りをつけている。」などと言ってました。後は、ベランダがあるなら、ベランダに芝生か砂を敷いてトイレ用にする、家の中の一角をトイレ用に囲う、または、おむつのみでやっていくなど色々考えたり試したりして良い解決方法をみつけてほしいと思います。
──Big Tree:愛犬が歳をとって来て、おしっこの回数が増えてきた時のお話を実体験などで教えてください。

──麻穂:ジュリエットの場合はUTI(尿路感染症)など膀胱関係の支障からくる頻尿というよりは、Arthritis(関節炎)の痛みが酷くなっていたことでそわそわ落ち着かず、おしっこの回数が異常に増えていたようでした。それを発見し、緩和剤を飲ませ始めたらかなりまた回数が減りました。それでもやはり、お漏らししてしまうことが増えたのも確かです。最後まで、行きたくなったときにちゃんと信号を送って知らせてくれていたのですが、外に出るのに間に合わないということが増えました。
わたしの場合は幸いにも家で仕事をしていたので、頻繁にトイレ休憩に出ていました。また、友達からおしめの使い方を指導してもらい、とても役立ちました。あまりにお漏らしの掃除が続くとお互いのストレスになるので、ストレスをためないという解決策でもおしめは貴重でした。ジュリエットの場合は、最後までうんちだけはおしめですることはありませんでしたが、おしっこの方はつけ始めた日から違和感ないかのようにしてくれたのは助かりました。それでも外出中に自分でおしめを外していてお漏らししていたり、わたしが居る間でもたまにお漏らしがありましたが、発見しても絶対に叱らない、嫌な顔をしないようにしました。彼女も、身体と頭がついていってないことを辛そうにしていたので。身体のコントロールがうまくできなくなってしまうことは仕方のないことであり、すごく辛いことだと思うのです。これは自分たちも将来起こりえることですよね。
夜中寝ていてもおしっこに行きたくなったら起きて知らせてくれていたので、少しでもおしめを使わないでいてあげようと思い、寝てる時はおしめなし。最後の2、3ヶ月は必ず夜中に一度起きて外に出ていましたし、二度のときもありました。正直大変でしたが、それが後2、3年続いても平気という覚悟は出来ていました。
──Big Tree:おすすめの介護アイテムなどはありますか?
──麻穂:そうですね、うちは、あのペット用ステップ(階段)も全然役に立たなかったし、お散歩の時に、お腹にまわして後ろ足をサポートしてあげるベルトもたまに使ったりしていましたが、どこか心地悪そうで愛用はしていませんでした。これは大切と思ったのは、家の中が板の間である場合や、キッチンなどつるつるする表面を歩くのがとても大変になってくるので、エリアマットでもじゅうたんをパッチワークみたいにひきつめてでも、なるべくつるつるしたところがないようにしてあげたら老犬には暮らしやすいと思います。
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おむつは重宝しました。短期間でしたが色々試して、わたしが一番これ!と思って使えたのは、パンパースのPull-Up式(引き上げ式)のものでした(トレーニングパンツ)。横をテープでくっつけるものもトライしましたが、落ちてしまうことも多く、ジュリエットにはパンツではかせるのが一番便利でした。尻尾のところに穴を開けてもそこから漏れることはほとんどなかったです。今の紙おむつの進歩具合に感動しました。ブランドではパンパースが一番しっかり吸収するし、中のところが長時間つけていてもごわごわしてこないのがよかったです。安いおむつだと、おしっこしなくても長時間つけっぱなしにしているとだんだん中身がごわごわしてしまい、結局捨てるはめに。一箱余分に買い置きしてあったのが要らなくなって近所の赤ちゃんにあげたらママが大変喜んでいました(笑)。うちは一緒にベッドで寝ていたのですが、一度だけベッドの上でお漏らしをし、その洗濯に大変な思いをしたので、それからはマットレスとシーツの間に薄い防水カバーブランケットのようなものを引いていました。引いてから一度もお漏らししませんでしたが。そんなもんですよね。
──Big Tree:歳を重ねると特に足腰に負担のかかる大型犬の場合は、ご飯をあげる時にも、床にお皿をおいて食べてもらうのではなく、スタンドなど台の上にご飯のボールを置き、食べる時に犬が身体を下にのばさないで済む様にしてあげるのもいいですね。でも犬が若い時でもこうしてあげるのは良い事だと思います。この台は楽天などで検索すると出てきますが(検索結果)、手作りや、または使わない本などを重ね、タオルで巻いて使う等すればお金もかからず簡単に用意できますね。我が家では、余っている犬の水飲みボールを裏返し、その上にタオルをかけて台にして使っています。さて、話は少し変わりますが、ジュリエットさんにホリステックやマッサージなどの方法を使いましたか?

──麻穂:本当はもっとホリスティックな方法で痛みの緩和やボケ進行を遅らせるために色々やってあげたかったのですが、試したといえば、Arthritius(関節炎)と分かってからは南米の芋ユッカ(Yucca)が関節炎の痛みの緩和になると聞き、蒸したユッカをずっと食べさせていました。後はおしりや足のマッサージはしていましたね。それからレイキ(エナジーヒーリング)を2回程やってもらいました。一度はジュリエットのお誕生日プレゼントでした。
わたしは個人的に薬の多用に抵抗があるので、病気の防止と病気になってしまった際は、なんとか自然の力で治したいと思っているのですが、やはりどちらか一方だけでは補えないところがあると思うので、上手に西洋医学と東洋医学またはホリスティックアプローチを使いこなせばいいのではと思います。
──Big Tree:老犬ならではの愛犬との素敵な時間や経験談などがあれば聞きたいです。
──麻穂:ジュリエットが8歳ぐらいから13歳くらいまでの間「老犬と暮らすのは本当にこころが和むな~。」とつくづく感じていました。若い時は若い時で、彼女のパワー全開のエネルギーが楽しかったのですが、シニア期に入り、気がつけばベッドで日向ぼっこしながら、音楽を聴きいて本当に幸せそうに寝てることが多く、そんなリラックスしてのんびりしてる様子をみてるだけで和みました。また、性格もどんどん丸くなってきて、今まで苦手だったもの(花火、雷など)が全く大丈夫になってきて、「なんでもOKよ~」的に振舞っていたので毎日がもっと楽になりました。ただ、やはり歳をとるとなんでもやっかいになってくるようで、若い時は写真をむけても全く平気で、ポーズも取れるほどでしたが、12、13歳位から、カメラを向けると「面倒だ・・・」「もういいでしょ・・・」という態度を取るようになりました。大好きだった車でのおでかけも、同じ頃から一気に楽しんでない様子を見せるようになりました。これもバランスが取りにくいことと、車の中だと余分なエネルギーを使って疲れていたのかもしれません。今年の初めに久しぶりに毎週行っていた大好きな公園に行った時、前は公園の入り口に車で入ったとたんから興奮が収まらなかったのに、本当に「つまらなさそうに」「早く家に帰りたそうに」したので、本当に歳をとったのがわかりました。
──Big Tree:安楽死のタイミングについて。どのような過程から決断しましたか?

──麻穂:ジュリエットの食欲は老犬になっても全く衰えることなしで、これは最後の最後までそうでした。お通じも本当に良く、ずっと規則正しく、下痢にもほとんどならず、いつもころころしっかりしたうんちが出ていました。わたしはこの「食欲」と「便通」をジュリエットの生命力を考える上でかなり重視し、計りの材料に使っていたところがありました。美味しそうに喜んで食べてる限りは・・・お通じが規則正しく正常ならば「生きたい」ということと思っていました。
実は今年の春頃から近所の人たちにも時々、「どうするの?」と聞かれたりしていましが、わたしの中では、いろんな老いのサインは出てきていても、あの食欲だし、まだ頑張る!頑張りたい!というサインだと見ていました。
でも、今年になって体重が激減(10年間22キロだったのが、去年から筋肉がなくなってきた分20キロになり、今年の3月には15キロになってしまいました)。あばら骨が浮き出はじめ、おしりの骨も出てきました。それでも、毛のつやなどは全く変わらずだったのですが、体重だけはどう頑張っても戻りません。食事に色々工夫をこらしたりもしましたし、毎食しっかり食べるのに体重は一行に増えず・・・。血液検査などもしましたが、「これ」といった原因になる結果が出てもこない──でも彼女の身体は確実に「何かを」訴えていました。
今振り返れば、彼女の身体は今年の春頃には「準備」が出来ていたような気もします。ただ、わたしの人生サイクルなどの状況を横で見ていた彼女は、後数ヶ月はわたしの傍で一生懸命支え続けなければと思ってくれていたようです。自分の状況と彼女の変化を照らし合わせてみたら、それがあまりにもはっきりわかるので、そうしてわたしのために一生懸命頑張ってくてたこと、本当にありがたくて言葉もありません。どんな時でも二人で一つと「運命共同体」でやってきたことが、ここにもしっかり現れていました。
3月に一度、朝ごはんの後一時間以上も口から透明の唾液が出たまま止まらなかったので、救急動物病院に連れていきました。その日の結論は「胃のもたれ」ということで診察終了。唾液も止まり、診察上異常なしというとこで、しばらく様子を見ることに。ただ、その時にも脳腫瘍の可能性はあるとは言われていました。それを確認するにはレントゲン、MRI、ウルトラサウンドなど色々方法はあるのですが、わたしの中では、確認したからと言って手術する気はないし、化学療法セラピーもする気もない・・・。なら検査する意味もあまりないのかもと思っていました。それは獣医さんたちも同じ意見でした。
6月に入って急に様々な症状が出てきました。
歩く時に頭が一方に傾きます。散歩中わたしの足に寄りかかって支えにしたり、壁や垣根を支えにしたりするようになり、そのうちトイレの際に芝生の上でくるくる回るようになりました(この行動を常にする犬も多いですが、ジュリエットは今までにしたことがありませんでした)。
食欲はずっとありながらも、ご飯を段々自分で食べなくなってきました。最初はあまりに時間がかかるので、途中でスプーンや手で食べさせたりしていました。するとどんどん「依存心」みたいなのが出てくるのか、大変なのか、そのうちご飯は食べさせてもらうものとなりました。長い時間立って食べているのも大変になってきて、わたしが座り込んで彼女をひざの上に乗せ、全部手で食べさせるようになりました。小さな肉団子のようにして食べさせるのが一番食べやすかったみたいです。
食事中のジュリエットさん
6月の下旬ごろかに関節炎で痛いほうの足のふとももあたりに「床ずれ」と思われるような皮膚のただれのようなものが現れました。転ぶことも増えたし、起き上がるのが大変になってきて、そのまま痛いほうの足を下に寝てることも多かったので、「床ずれ?」と大変心配になりました。毎日きれいに拭いてあげたり、なるべくその足を下にしないようにしたりしていましたが一行に良くならない。シェルターの獣医師が診に来てくれた時に、それは床ずれでないと言われました。その時点で右足だけでなく、残りの足の指先や間などにも出始めていて、床ずれの現れ方ではないという事でした。目の下にも一つ同じようなものが現れ、獣医師によるとアレルギーの可能性もあるが、癌細胞が広がって外に出始めている線の方がもっと濃い、とのことでした。
シェルターの獣医師が訪問してくれてたっぷり時間をかけてジュリエットを観察してくれました。同時にわたしからの話も合わせ、様々な選択肢をくれました。わたしの中で、変わらない食欲と規則正しい便通のことを生きたいサインとしてることなど話ましたが、動物、特に犬は最後の最後まで食べるので、それを一番のはかりにしてしまってはだめなことを教えてくれました。「出来る検査すべてをしてみて、治療に励むのも、このままホスピスケアするのも、また安楽死も、どれもが前にある選択肢であり、どれを選んでも全面サポートするが、どれを選ばないといけないかが分かるのは麻穂しかいないから、じっくり考えなさい。」と言われました。
それをきっかけに、状況を違う角度から見ることができ、食欲・便通は差し置いて・・・と色々な面をしっかり考えました。そこでとても大事だったとことは、「客観的に観察・判断」したことだと思います。わたしだって、ジュリエットだって出来るなら一生一緒にいたい。それは当然のこと。でも、それはどんな人だって、どんなにお金を積んだって無理なこと。自分の感情などはすべて横に置き、今のジュリエットがどんな状態にいるのかをしっかり考えました。
彼女が5、6歳の若い犬ならアグレッシブな治療もなんでも出来る限りのことをして、治すために全力を注いだと思います。でも、その時のジュリエットの状態は「治す」という段階をすでに越してしまっていることを再認識しました。「では何を待っているの?」という質問が出てきました。ちょっとでも長く一緒に居たいために彼女がもっと大変な思いをし、血を吐いたり、発作を起こしたり、もがき苦しんだりしないと「その時」って終止符を打てないのか?もちろん寝ているうちにすっと安らかに逝けるほど幸せなことはないが、それは宝くじにでも当たるほどの確率。延ばせば延ばすほど彼女を追い込むことになるということが、痛いほどわかってきました。それならば、今まだ美味しく食べれて、みんなの事もちゃんと分かって、なんとかやっている今、逝かせてあげるのが私のつとめではないかと思いました。
とてもありがたいことに、一番信頼のおけるシェルター獣医師とマネージャーが「その時」が来れば全部助けてくれると言ってくれていたのでお願いし、火葬の段取りもつけ、週末にジュリエットに会わせたい人みんなに来てもらい、最後のお別れもしてもらえました。ジュリエットもみんなに会えてとても満足だったみいです。最後に一緒にお風呂にも入りました。わたしの腕の中で静かに微笑んでいたジュリエットの顔は一緒忘れません。老犬の胃には負担になるし、下痢になるのも覚悟で最後に大好きなステーキを焼いてあげました。焼いてるときから自分のものとわかって興奮していたので、わたしも嬉しかったですね。夜、いつものようにソファーで寄り添ってTVを見て和みました。
きっとジュリエットもわたしも覚悟が出来ていたのかもしれません。
幸い注射の手順やその時に起こりえる状態などは長年のボランティア活動で学んでいたので、ジュリエットの最期もどんな状況をも想定し、対処する覚悟と準備は出来ていました。本当に幸いにジュリエットは眠るように静かに逝きました。それがわたしに安堵を与えてくれたので、また彼女に感謝で一杯になりました。
運命共同体のわたしたちだったので、もちろんすべての行程はわたしの勤めと、火葬センターにも自分で連れて行きましたし、最後の最後まで傍に居ました。火葬センターの方も本当に全面心配りをしてくださって助かりました。
ジュリエットの身体がなくなってしまったこと、一生触れないこと、今まで一緒にしていたことがもう出来ないことには、きっと一生慣れないだろうし、悲しみは一生残り、ずっと涙は流すだろうとは思います。でも、ジュリエットが去った後に、今までにはなかった新しいエネルギーと力みたいなものが湧いてきました。また、彼女が残した「遺言」というのか「メッセージ」がいくつかあって、それもものすごく明白に頭に入ってきました。それらを感じた時に、わたしとジュリエットの魂のつながりは一生消えないのだと確信できました。こんな関係を築けたこと、本当にしあわせだとおもっています。
──Big Tree:麻穂さんありがとうございました。そしてジュリエットさんにも感謝の気持ちでいっぱいです。一度でいいから会いたかったなー。一匹でも多くの動物達がジュリエットさんのように、愛する人に囲まれて、心安らかに天国に渡れる事ができますように。
寺口麻穂
ドギープロジェクト、オーナー、米国ニュージャージー州のシェルターボランティア、アダプション・カウンセラーなど犬のしつけ・訓練に関するスキル、犬とのコミュニケーション法、犬の心理学などの知識を備え、長年の経験を積んだ犬のスペシャリスト。アメリカで発行されている日本人向けの情報誌、U.S. FrontLineにて「ドギーパラダイス!」というコラムも連載中。
URL: www.doggieproject.com
Blog: 犬のこころ
Facebook: ドギーパラダイス!
プロフィール:1988年に大阪を出て、「英語」と「世界」を学ぶためサンフランシスコ・ベイ・エリアに上陸。大学・大学院で文化人類学を研究した後、1999年に愛車で大陸横断し、東海岸に移住。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに「子供の頃からの夢を現実に!」と犬のプロになる決意をし、人間の専門家から犬の専門家にキャリアチェンジ。地元のアニマル・シェルターでボランティアをしながら、個人でビジネスも立ち上げ、犬と飼い主がより充実した生活を送れるようその指導に日々励んでいる。11年前にシェルターから酷い虐待を受け捨てられたジュリエットという女の子のピットブルをアダプトする。この11年間、「運命共同体」としてお互いなくてはならない存在になる。2011年7月25日、沢山愛されたジュリエットは推定13歳で虹の橋へ。2012年2月シェルターにて生後5ヶ月のピットブルテリア、ノア(♂)を譲渡し、共同生活を始める。