迷子札の大切さ「ハッピーティピー」オーナー、Micaさんのインタビュー

迷子札──それは、犬を飼い始めて自治体に登録する時にもらえる「鑑札」とは別物で、それぞれの飼い主さんが愛犬・愛猫の首輪に名前、電話番号を刻む札の事です。今流行っているツイッターでも、迷子になってしまった愛犬、愛猫の特徴、写真を載せた飼い主さん達のつぶやきがとても多い事に驚きを隠せないと共に、とても同情してしまいます。愛する人・動物の居所が分からない、安否が分からない・・・これ程辛い事ってあるでしょうか?

我が家では、愛犬達と外に出るときは必ず、迷子札をつけています。でも実は・・・家の中では、首輪は全てはずした状態にしていました。「家の中では必要ない。」と思ったのと、小型犬なので、首から大きな迷子札がぶらぶらぶら下がっているのは負担になると思ったからです。ある日、ブログを通じてお友達になったMicaさんが迷子札を扱うネットショップを経営されている事を知り、なにげなくそのサイトにお邪魔してみました。ただ、迷子札を売っているだけなのかと思って伺ったサイトでしたが、迷子札だけではなく、首輪の重さなどについての情報の深さに「はっ!」っと目が覚めた記憶があります。

家の中は安全と思っていた私ですが、突然の自然災害、火事などの時に、慌てて愛犬に迷子札の付いた首輪をつけて・・・なんていう余裕がなかったら・・・。まったく予期していなかった状況で、迷子札も首輪もつけない愛犬達が外に逃げ出してしまったら・・・。これを読まれる皆さんも、もし迷子札をつけていらっしゃらない場合は、何かの気づきになってくれると嬉しいです。MicaさんはHP以外でもフェースブックにて「迷子札をつけよう!」というページを作ってらっしゃいます。そちらのサイトでもぜひ「いいね!」リンクを押してあげて下さいね。それでは、Micaさんへのインタビューをどうぞ!〜Big Tree for Animals

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──まずMicaさんのオンラインショップ、「ハッピーティピー」のホームページを読ませて頂いて感心した事は、迷子札だけにとどまらないその情報の深さでした。首輪にしても、リードにしても、実は色んな事を考えて選ぶ必要があるんですね、例えば重さとか・・・。すごく勉強になりました。犬のサイズと首輪の重さの関係について教えて頂けますか?

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首輪や迷子札に限らず、「犬の体の大きさや月齢に合わせてサイズ、素材、重さ、機能性などから選ぶ」って大切なことだと思うんです。愛犬とオシャレを楽しみたい飼い主さんは多いと思いますが(オシャレを楽しむことは悪いことではありませんが)、ファッション性だけでなく、安全性、犬の心にも体にも負担にならないものを考えて選んであげたいですよね。

たとえば、子犬を迎えてはじめての首輪にかっこいいけど、重くてごつい革の首輪を選んだとします。大型犬や首の太い犬の子犬なら平気だろうと思いがちです。でも、気にしない(ように見える)犬もいますが、つけ心地の悪いものだと、飼い主が選んだ首輪のせいで、散歩に対してネガティブなイメージを持つこともあるようです。

子どもの頃から大好きでよく読んでいた本(犬を飼う知恵 / 平岩米吉 著)にこんなことが書かれています。

首輪はいろいろの太さや形のものがあるが、幅の広い、金物などの多くついているものは、立派には見えても、重症の場合には相当の負担になる。重い首輪ははずして、代わりに、臨時に布の類で作った細い首輪にしてやる。また、連れて歩くときの頑丈な鎖も同様重いので、これも軽い綱に代えてやる。重態の犬に、大きな首輪と重い鎖をつけたままにしてあるのは、いかにも痛ましい。なお、このような配慮は、病犬の場合ばかりでなく、高齢の老犬にも望ましい。

──「犬を飼う知恵」より

Micaさんの初代犬、リリちゃん
Micaさんの初代犬、リリちゃん

現在3匹のチワワと暮らしていますが、わたしがはじめてチワワと暮らすことになったのは昭和48年のことで(最初に暮らしたチワワの名前は「リリ」と言います。白黒のスムースチワワで、頭がよくてやさしくて、今でも大好き)、当時はまだチワワのような小型犬向けの商品が市場に出回っておらず、犬鑑札もデカイ。だって、鑑札は秋田犬もチワワも同じサイズですもんね(笑)

首輪は猫用の細くて軽いナイロン製のものを、母が買ってきました(散歩はブリーダーが輸入してくれたハーネスを使っていました)。他の物も、やはり母といっしょに、いろいろと、小さなチワワによさそうなものを工夫して作ったり、買った物を改造したりしてました。迷子札はつけていませんでしたけれど、首輪の裏に、母が刺繍してました。名字と、6ケタの電話番号を。そうですね、小学校のときの体育の帽子や体操着に縫い付ける刺繍みたいな感じで。だから、リリはわたしにとって姉妹みたいな存在でした。犬の成長は早いので、あっという間にリリのほうがあたしより大人になりましたけど(笑)

その後しばらくして、動物雑誌でこんな記事を見かけたんです。哺乳動物学者の先生が犬に関して、遠くから家に帰ることが出来るかどうかの実験を行い、首輪など、どのくらいの重さなら支障がないか調べた際、その結果わかったことは体重の4%以下の重さでなければダメという内容でした。それをオーバーすると前足に負担がかかりすぎて長く歩いているうちに前足を引きずるようになってしまったそうです。

「なんでそんな可哀想な実験を (ノД`)」とも思いましたが、ならば軽くて犬に負担のないものを選ばねば、そして作らねばと思うきっかけにもなった記事でした。だって、体重2キロのチワワならば首輪も含め80グラムが限界ということですもんね!80グラムの重さを想像してみてください。上限80グラムという重さだって、ふんわりした重さなのに!犬にとって負担のない重さのこと、すごく考えさせられました。

哺乳動物学者の先生が犬に関して、遠くから家に帰ることが出来るかどうかの実験を行い、首輪など、どのくらいの重さなら支障がないか調べた際、その結果わかったことは体重の4%以下の重さでなければダメという内容でした。

ハッピーティピーは迷子札中心のショップなので他のものが充実していないのですが(苦笑)はじめて犬と暮らすことになったお客さまから、色んな事をご相談いただくことがしばしばあります。そのなかで、迷子札をつける首輪選びのアドバイスとして、素材の特徴などをお伝えしています。

例えば、首輪の素材の特徴としては、革製は強度があり長持ちしますが、革や作り方によっては最初はごわつきがあったり重さもあります。仔犬のはじめての首輪として、革素材のものはわたしはお勧めしたくありません(成長して首輪慣れしてからでいいと思います)。合皮素材のものは革よりは軽いのですが、ひび割れてくると簡単な力であっという間にちぎれてしまいます。布製で綿100%の物は、軽くてやわらかく、静電気も起こりにくいので肌の弱いコには負担が少ない反面、耐久性に欠けるので、マメなチェックが必要です。合皮と同じく、劣化するとあっというまに裂けてしまいます。ナイロン製は軽くて柔らかくて強度もあります。濡れても乾きやすいです。

迷子札も同様で、いろんな素材のものがあります。革、木、プラスチック、アルミ、ステンレス、銀、その他色々。それもやはり、年齢やその子の性格、体などに合わせて選ぶべきだと思います。

革や木、プラスチックは軽さ的には理想的です。サイズが大きめでも金属より軽いので入れられる情報量も多いですし。でも、子犬って何でも噛んだり口にいれたりしちゃうじゃないですか。革製、木製、プラスチック製のものを、うちの黒(Micaさんの愛犬)が小さいときにつけたんですが、ちょっとよそ見して振り向いた瞬間には全壊してました(爆)チワワの小さな口でも、ものの数秒で破壊されちゃったんです。黒にはほかにもいろいろやられましたねぇー(遠い目…)同じチワワでもパウ(Micaさんの愛犬)はそういった破壊活動をあまりしなかったので、黒にはいろいろ勉強させてもらいましたよ(笑)

でも、そのとき、革や木、プラスチックのものはもうちょっと大人になってからにしよう、いたずら盛りのときはやめようって思ったんです。あと、同時に、口が届かないくらい小さなものだったら、そして気づかないくらい軽ければ、ガジガジされないし、誤飲事故も防げるかなって考えました。

子犬だったら何でも噛んだり口に入れたりしたいものです。「口に入れることを前提に壊れないものを作って」という方もたまにいらっしゃるのですが、そりゃ無理です。犬の歯が欠けてしまうくらい固い素材でなんて作りたくないし、高級感を背景に「一生モノ」と販売する商品も見かけますが、べつに一生使えるものである必要、ないと思うんです。犬の月齢や性格、体格に合わせて、その都度選ぶべきだと思うんですよ。

商品

ハッピーティピーでシルバーを素材として使用している理由としては、銀って歯の詰め物にも使われるくらい安全な金属なんですよね(純銀は柔らかすぎるのでアクセサリーにはシルバー925が使われています)。本格的な金属アレルギーの犬にはお勧めできませんが、いろんな面でバランスのよい、迷子札にはいい素材だと思ってます。小ささ軽さを重視しているので、入れられる情報量に制限があるのが残念なのですが。

余談ですが、愛犬が亡くなったあと、かたみ(お守り)として飼い主さんがアクセサリーで身につけてくださっているというご連絡を頂く事もあります。愛犬を失う苦しさをおもうと思わず涙してしまいますが、経年でちょっと黒ずんだシルバーの迷子札、いつまでも愛犬の思い出とともに大切にしていただけてとてもありがたいし、うれしいなって思ってます。

──「うちはマイクロチップをしているから大丈夫」ってお思いの方もいると思うんです。私もそうでした。その上に迷子札をつけるという事のメリットを教えて頂けますか?

迷子札の利点というのは飼い主のところに戻る際のスピードにあると思います。保護した方が直接飼い主に連絡できる手段ですものね。

愛犬が亡くなったあと、かたみ(お守り)として飼い主さんがアクセサリーで身につけてくださっているというご連絡を頂く事もあります。経年でちょっと黒ずんだシルバーの迷子札、いつまでも愛犬の思い出とともに大切にしていただけてとてもありがたいし、うれしいなって思ってます。

実際、いつも散歩で行く公園の近くで犬を保護したことがあるんです。幸い迷子札をつけていて、飼い主さんにすぐに連絡をとることができました。カプセルタイプのものだったのですが、中に入っていた紙に電話番号が書かれていました(でも文字がにじんで少し読みにくかったので、この手のものは濡れないようにする工夫が必要だなってそのとき感じました)。

飼い主さんも必死に探している最中でしたが、迷子になってから1時間で、その犬は家に戻ることが出来たんです。やっぱり迷子札って大切だなって改めて実感した経験でした。

──あと、災害なんかが起こって、ウチみたいに普段家の中では首輪をつけていない家庭は大変な事になりかねないですね。首輪つけてる暇がないとか・・・。普段玄関から飛び出さないようにとても気をつけてはいますが、それでもやっぱり保証はない。。。迷子札のついた首輪をつけないまま、外に出て、うろうろしている我が愛犬達の姿を想像するだけで、ぞーーーっとしてしまいました。

わかります、もう、想像しただけで気が狂いそう。不安で胸がずきずきばくばくしますよね・・・。雷が多い季節なんかは、やっぱり迷子の犬、増えます。花火大会でいっしょに楽しく花火を見る予定だったのに、花火の音に驚いて逃げ出して迷子になってしまった、なんてことも。「普段では考えられない」行動をとって、犬は突然迷子になってしまうことが多いのです。

ふだん首輪をつけない(つけたくない)理由は様々あると思いますが、首輪ではなく、もし、革紐やボールチェーンなどは嫌がらない様子なら、そういうもので慣らしながら着けていてもいいと思います。幅1cm未満の細い軽いカラーもあります。とにかく迷子札はお散歩のとき以外にもつけていてほしいなって思います。

迷子になって、放浪が長くなれば毛艶も悪くなるし爪も伸びる、そして首輪も迷子札もしてない状態だと、飼い主から遺棄された犬だと思われてしまうことも多いと思うんですよ。

実際、知人が以前犬を保護したときに「この犬は絶対飼い主に虐待されて棄てられた犬に違いない!!!保健所・警察署に飼い主から1ヶ月経っても連絡なかったら里親探す!!!」ってカンカンになって怒っていることがあって。

理由としては「爪が伸びてる、歯石がついてる、人なれしてない、首輪はめてない」ってことだったんですが、実際はとても可愛がられている犬でした。

お年寄りと暮らしている犬だったのですが、飼い主以外にはなかなかなつかない性格の犬もいますし、毎日歯磨きしてても歯石がついちゃう体質の犬もいますしね。自分の中の常識で勝手に想像して勝手に腹を立てるべきではないのはもちろんですが、首輪と迷子札をしてたら、すぐに飼い主のもとに戻ることができたと思うんですよ。

──実際にハッピーティピーさんの迷子札をつけていたお陰で、迷子のコが早く見つかったというケースもあるようですね。

そうなんです!!!1999年に個人サイトの1コンテンツからはじめた迷子札ショップ、いろいろあるけど続けてきて本当によかったなーって思える瞬間です。

迷子にならないのがいちばんですが、迷子になったら絶対に無事に飼い主さんのところに戻って欲しい。1つ1つ、強く願いながら作ってます。ホワイトセージでお浄めもしてるんですよ(笑)強く願うことって、すごく大切なことだと思います。

それと、併設の迷子情報掲示板の話なのですが、こんなことがあったんです。ハッピーティピーの迷子掲示板を利用してくださった飼い主さんから、「6年ぶりに愛犬との再会を果たすことができました」というご報告をいただいたときには、もう本当にうれしくて感動して、鳥肌がたちました。

掲示板開設当時から、ご希望の方のみにですが、「無事に戻りました」といううれしいご報告をいただいたときには、もう二度と迷子にならないように願いながら、迷子札を作ってプレゼントしています。

──うわー、それすごく素敵な事ですね。Micaさんのハートを感じます。Micaさんのオンラインショップ、ハッピーティピーは生体販売しているお店との取引は一切お断りしているそうですね。これからもこのように社会的に責任のある会社やお店がどんどん出て来てくれるとうれしいです。ハッピーティピーがそうする事にした理由はなぜですか?

子どものころに知らなかった・わからなかったことが、大人になってだんだん見えてきますよね。実家の近くにはペットショップがなかったですし、実際に行ったり、見る機会もなかったんです(実家の犬たちは近所で生まれた犬をもらったり──当時は野良犬もまだいたので、お寺などで時折「子犬もらってください」とかありました。)、リリ(1973年に我が家の犬になったチワワ)はチワワを飼っていた知人の紹介で、チワワ専門のブリーダーから迎えました。

黒さん、♀11歳
黒さん、♀11歳

母と弟と3人で、ブリーダーのところに見学に行った日のことは、今でもよく覚えています。そのブリーダーさん、毎日たくさんのチワワのために、コトコト煮込んだ手作りのごはんを作っていたんですよね。とても印象深かったです。爪の切り方から、シャンプーの仕方、犬(チワワのような小さな犬へ)の接し方、当時日本では売っていなかったグッズなど、いろんなことを一生懸命、子どものわたしにも教えてくれました。

実際目にしたことのないペットショップにはネガティブなイメージもポジティブなイメージも、どちらも持っていなかったんです。親元から独立してから飼ったはじめての犬(パウ)はペットショップで買いました。

チワワと暮らしたいということだけは決めていたんです。チワワについては、その犬種の最期までを知っていたこと、犬種特有の「気をつけてあげなくてはいけないこと」を分かっていた事、都会の住宅事情などから、そう決めていたんです。

子どもの頃から犬と一緒に暮らしていたので、犬のことは純粋に大好きでしたが、動物愛護については正直まだ関心はありませんでした。関心がないというか、知らないことが多かったんだと思います。それでも、動物愛護として考えていたわけではなく、「買う」という選択肢以外の方法も、考えました。実家の犬たちもそうして迎えた犬もいたので。

ただ、1998年の東京都心には野良犬もいませんし、偶然自分が暮らせるサイズの捨て犬が段ボールに入っていることもない。また、賃貸マンションで飼育できる犬のサイズにも制限があるので、成長してどのくらい大きくなるか予測できない犬は迎えられない。当時、動物病院などに貼りつけてあった里親募集で見かけるチラシは中型~大型犬の成犬のミックス犬が多く、また、持ち家の人のみに譲るという条件がついていたものが多かったと記憶しています。インターネットもまだ利用していませんでしたし、タウンページからブリーダーという職業を見つけることはできませんでした。リリのブリーダーさんの連絡先ももうわからない(後年知りましたがだいぶ前にお亡くなりになっていました)。そして数件のペットショップに問い合わせ、来店し、購入となったのでした。

パウくん、12歳
パウくん、♂12歳

パウを迎えた直後(1999年6月)に、ひょんなことからインターネットをするようになり、膨大な情報を目にすることになりました。ペットビジネスにまつわるブラックな情報も。そこではじめて、動物愛護について関心をもって動こうと思うようになりました。ゲーム機でインターネットしてコントローラーで入力していたわたしですが、5ヶ月後にはホームページを立ち上げていました。パソコン初心者の素人が作ったウェブサイトなので、ぐちゃぐちゃでしたけどね(笑)

パウを購入したペットショップはインターネット上にあがっているような悪い情報を体現した様子ではなかったので(客が自由に犬を見たり触ったりすることができる環境ではなかったんです。電話して、店に行って、連れて来てもらいました)、ネット上のソースだけを鵜呑みにするのもなんだったので、自分の目で確かめるべく、一時期、都内のペットショップ巡りをしたことがあったんです。ペットショップがそんな酷いなんて信じたくなかった気持ちもありました。でも、結果は惨敗(?)。毎回毎回、本当に辛い気持ちで店をあとにしました。

ペットショップでアクリルケースに入れられている犬たちが、明らかにまだ母犬の栄養や愛情を必要としている月齢だったり、知識や愛情のないスタッフがぞんざいに「商品」を扱っていたり。眠っている子犬をむりやり起こしてだっこさせていたショップもあります。

頭に下痢便をつけたままの子犬、ショップの店員が定期的に水を取りかえる時間にケアしたり拭いてくれるのかと思えば、犬の目も見ずお水の皿だけとりかえ、下痢便で汚れたシーツはそのままに去りました。

幹線道路沿いのペットショップ、成長した柴犬の体にまったくあわないケージにむりやり入れていました。その上のケージに積まれていた犬の足には大きな腫瘍ができていました。シャッターが閉まったあとも、幹線道路を走る車の騒音にかき消されながら、犬たちの叫び声がうっすら聞こえてました。

渋谷の騒がしい道路沿い、曲がり角の、ものすごく狭い一角に、まるで自動販売機で売られているかのような状態で、展示販売されている子犬たちもいました。世田谷のあるペットショップ、「オスメス両方買って子ども産ませなさい。生まれた仔犬はうちで買ってあげるから。いいお小遣いになるよ」と言われたこともあります。

チコくん、♂6歳
チコくん、♂6歳

ハッピーティピーの商品を気に入ってくださることはとてもうれしいし、ありがたいと思ってます。お取引をお断りする際に、「愛情と情熱をもってペットショップを営んでいる。ウソだと思ったら見に来ればいい。ペットショップに対して悪いイメージばかり勝手に抱かないで欲しい」と言われることもあります。

確かに、ペットショップの実態を自分の目で確かめるため都内のペットショップ巡りをした際、愛情をもって子犬の世話や管理をしているショップもありました。でも、やはり、展示販売は子犬の心にも体にも負担が大きいと思いますし、買う側にも「衝動買い」という問題が生じることが多くなります。きっかけが衝動買いでも一生責任と愛情をもって暮らす方が大半だとは思いますが、「衝動買い」の果てに面倒を見られなくなった、飽きたなどの理由で棄てたり保健所に持ち込む人がいることも事実です。そういった理由から、生体販売をしているお店とはお取引しないという方針にしました。

パウと暮らしはじめた数年後、消費者金融のCMに使われたことで、チワワが大流行となりました。イコール、チワワを仕入れたり繁殖する業者も増えますよね。以前ならば保健所で見ることなどなかったチワワが、今ではたくさん収容されています。

これって、どういうことなんでしょう?本当に犬を愛するペットショップのオーナーさんには、もっと別の形で犬や、犬と暮らす方、これから犬と暮らしたい方のサポートをしてほしいなって思います。わたし自身も、ペットショップから犬を買う経験は、パウを最初で最後と心に決めています。

──ハッピーティピーのサイトには「迷子動物情報・里親募集掲示板」も付いていますね。最近ではフェースブックでも「迷子札をつけよう!」というページを始められたとか。里親になる、フォスターになる、レスキュー活動をする等、人それぞれこれにしよう、と決めてする活動があると思いますが、Micaさんがこの「迷子の動物達」の手助けをする事を決めた理由は何かあるんですか?

保健所で処分される犬や猫は無責任な飼い主の遺棄によるものだけではなく、実際は迷子の犬もたくさん含まれています。知人の知人という又聞きの話だったのですが、「鑑札をつけていたのに保健所で処分されてしまった」という話を耳にしたことがあったんです。そんなバカな!って思いましたよ。でも、話は又聞きですからね。やっぱり自分で確認しないと。そこで、関東のあっちこっちの保健所に電話をかけて質問をしたんです(質問は1999年から2000年にかけて行いました)。

「犬が迷子になって保健所に連れてこられても、鑑札さえつけてればちゃんとご連絡いただけるんですよね」という質問に、「鑑札つけてれば連絡しますよ」って返事をする方もいれば「届け出が出てなければこちらから探して連絡することはないですよ、だから迷子になったら届け出してくださいね」って返事をする方もいたんです。耳を疑いました。いったい、何のための鑑札なの???って。

スピーディに飼い主に連絡をとり犬を家に戻す方法として、迷子札はシンプルで確実な方法だと確信しています。

しかし、ここ数年、積極的に改善を図ろうとしている自治体の活動もあります。日本では犬を飼ったら自治体への登録と毎年狂犬病の注射が義務づけられています(実際の犬の登録率は半数にも満たないという情報もあるのですが)。犬の登録率をあげるため、各自治体工夫していろいろなことを試みています。オシャレなデザインの鑑札にリニューアルしたり、犬の住民票を発行したり。それもこれも、迷子の犬の命を救うため、迷子の犬を無事に飼い主のもとに返還するためと謳われています。すばらしいことです。10年ひとむかしと言いますが、2011年、「届け出が出てなければこちらから探して連絡することはないですよ」なんて回答が、ゼロになっていることを切に願ってやみません。

でも、マイクロチップの話と同様、鑑札には個人情報が書かれていないので、保護した方が直接飼い主に連絡をとることができませんよね。スピーディに飼い主に連絡をとり犬を家に戻す方法として、迷子札はシンプルで確実な方法だと確信しています。

わたしは都内のペット可賃貸住宅に住んでいます。住宅事情や規約の面からも無尽蔵に犬を増やしたり、預かることができません。自分のライフスタイルに無理なく、そして情熱をもって活動できるのが迷子動物のための活動でした。小さなことでも、無理なく続けられるもので、動物たちをサポートしていきたいと思ってます。

──Micaさんにとって、愛犬のパウ君、黒ちゃん、チコくん達の存在はどんな存在ですか?

パウくん、チコくん&黒さん
左からパウくん、チコくん、黒さん

すごいベタな返事でアレなんですけど(笑)家族ですよね。お腹を痛めて産んだとも断言できる愛おしさ。容姿や言語や習慣、必須栄養素、ほかにもいろいろなことが違うので、擬人化ではなく、犬の本能や習性、人間と犬のいろいろな違いを理解したうえで、やっぱり家族です。

変な例えを持ち出してなんなんですが(笑)、STAR WARS(スターウォーズ)やStar Trek(スタートレック)見てると、言語や風習や平均寿命もまったく違う種族が、人間も宇宙人もいっしょに暮らしてるじゃないですか。ハン・ソロとチューバッカが親友だったりね。あぁいうの、本当にいいなぁって思うんですよね。

習慣も、不快に感じる動作やにおいも、寿命も、体に必要な栄養素も、それぞれ違うってことを受けいれながら、助けたり助けられたり、赦しあえたり、お互いが心の支えで、愛犬のパウ、黒、チコはわたしにとって、大切な犬で、家族です。

──これから犬を飼おうとしている方々に、これだけは知っていて欲しいという事はありますか?

犬は犬だということを理解した上で、愛情を注いで欲しいです。犬を犬と思わずに、習性を無視した過度で方向の間違った愛情は、犬にとって迷惑ですし、ストレスです。

それから、飼い主は犬の代弁者です。犬は獣医に自分の苦痛に感じていることを訴えることはできないですし、過去の病歴の説明もできません。そういったことは飼い主が代弁しなくてはいけません。適切な状況説明があれば適切な治療を受けやすくなります。ふだんからできるだけ犬のことを見て、性格や体調の変化など気づいたり理解するようにしてほしいなと思います。

獣医師選びも飼い主の大切な役割。健康なときに、安価な尿検査などで近くの病院の設備や先生のお人柄、衛生面などチェックしておくことをおすすめします。健康な状態をかかりつけの獣医に見て知っていてもらっているほうが、具合が悪くなってはじめて診てもらうより、絶対にいいと思います。

犬との暮らしに限ってのことではありませんが、なんでも受け身で、入って来る情報をただ信じるだけって、怖いことです。疑問をもったり、自分で調べたり考えたり判断したりすることってすごく大事です。

そして、いざ病気にかかって動物病院に行くと、治療方針も経過も予後も気にせず、すべて獣医任せにしてしまうといったことがよくありますが、例えば注射1本打つのでも、どういう目的で何の注射をしたのかを、知ろうとしてほしいと思います。

犬との暮らしに限ってのことではありませんが、なんでも受け身で、入って来る情報をただ信じるだけって、怖いことです。疑問をもったり、自分で調べたり考えたり判断したりすることってすごく大事です。

最後に、犬を迎える方法として、「買う」という選択肢以外の方法もあることを、助けと愛情を待っている犬がたくさんいることを、ぜひ心にとめておいて欲しいです。

──犬と暮らす事で、しんどい事を教えて下さい。

犬の体調が悪かったり怪我をしたときは本当に胸が痛くなります。子犬時代にいろんなものを破壊されても、聞き分けがなくても、そんなのはちっともしんどいとは思いませんでしたが、具合が悪い犬を見ていると、ただただ胸が痛いです。

それと、犬のほうが寿命が短いです。絶対に、飼い主が犬を見送る日は来ます。何度か経験していますが、決して慣れるものではありません。そのたびに、気が狂いそうになるくらい悲しいです。どんなに愛したつもりでも、もっとこうしてあげればよかったという気持ちは必ず出てきます。でも、そういう後悔の念があるうちはただただ悲しいだけのですが、時間とともに楽しかったこと、うれしかったこと、犬への感謝の気持ちばかりになってきて、そんなとき、やっと新しい犬を迎える気持ちになれて、パウを迎えました。

犬と別れるときは本当に身を切られるつらさですが、余りある幸せな時間を過ごすことができます。

──犬と暮らす事で、嬉しい事を教えて下さい。

先ほどの質問の最後にちょっと入れてしまいましたが(笑)なんだろ、うまく言えないけど、犬といっしょにいると、なにもかも輝いて見えます(笑)季節の移り変わりを、犬との楽しい散歩を通して見ると、心から、世界は美しいなぁと感じます。

あと、自分ひとりで歩いていたらお話しすることもなかった人とお話ししたり、ネットでも犬の話題を介してお友達ができたり。よいご縁がひろがっていくときって本当にたのしいですよね。イーさん(Big Tree for Animalsの管理人)との出会いにも感謝です。

──Micaさん、インタビューにお答え頂き、ありがとうございました。これからも頑張って下さい!

ありがとうございます!これからも、自分にできることを考えて、そして、考えたら行動にうつしたいと思ってます。

▲ ハッピーティピーさんの商品のレビューを書かせて頂きました

追悼 Micaさん一家の大切な愛犬のパウくんが、2011年6月26日天国に旅立たれました。

パウくんMicaさんの写真ブログでなんとも愛らしい姿を見ていたパウくん。私もパウくんの愛らしさにどんなに癒されていたか。この世でのお役目を十分に果たし、今度は違う世界でMicaさんご一家を見守ってくれるのでしょうね。パウくん実際に会えなかったのが残念です。ふわふわのキミを抱っこしてみたかったよ。

パウは最期まで苦痛に顔をゆがめるようなことはありませんでした。息があらくなることもなく、ただただ、すーっと、静かに息をひきとりました。12年3ヶ月という短い生涯でしたが、最期の日まで、生活の質を落とさず過ごせたこと、これだけは本当によかったと思っています。クオリティオブライフに理解のある先生たちに、心から感謝しています。-Micaさんのブログより

Micaさんのブログにてパウくんの事が書かれています。私は祈りの力を信じます。どうか皆さんも頭の中で想像した明るい光をパウくんとMicaさん一家に送ってあげて下さい。

 

micaさん(樋口 美加)Mica(樋口 美加)
ハンドメイドの愛情たっぷり迷子札を制作/販売するネットショップ「 ハッピーティピー (Happy Teepee)」オーナー
URL: http://happyteepee.com/
ブログ:Go Go AMIGOS!
フェースブック:迷子札をつけよう!
プロフィール: 1967年生まれ、神奈川県出身、東京都世田谷区在住。同居の家族は夫・3匹のチワワ(パウ♂12歳、黒♀11歳、チコ♂6歳)。1999年より個人サイトの1コンテンツに迷子動物情報掲示板を開設、ほぼ同時にハッピーティピーという屋号のネットショップでハンドメイドの迷子札の販売を開始。現在もネットショップ運営を続けながらフリーランスでウェブ全般に関わる仕事を行っている。

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