以前掲載した、米国の獣医師カレン・ベッカー先生の記事「最良から破滅的な13のペットフード」の続編とも言える内容の記事を訳してみました。ベッカー先生は、ホリスティックと現代獣医学の両方からバランスのとれた情報を提供してくださっている方です。残念ながら今市場に出ているペットフードには、人間の食べ物を生産する時のような厳しい規制がかけられていません。大手ペットフードの華々しいコマーシャルの裏側で私たち一般の消費者には知られていない恐ろしい現実があります。ペットのアレルギーや体調不良、涙焼け、フケ、耳垢、下痢、内臓負担などはペットフードを見直したり、家庭で使われている化学物質満載の家庭用洗剤(洗濯の石鹸、床磨きの洗剤、窓ふき洗剤、空気洗浄スプレー等全て)の使用をやめ、お酢や重層などの自然の物を使う事で、大体改善されるのではないでしょうか?大切な家族である動物達を守ってあげるのは飼い主である私たち。知識というパワーを得て、消費者として正しい選択(買い物)をする事で、フードを作る側に対して商品の改善を要求して行きたいと思います。〜Big Tree for Animals
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Suite101.comは「ドッグフードには何が入ってるの?ドッグフードのブランド名って重要?」という質問を投げかけました。
獣医師のジェス・ブラウン先生の答え:
犬の健康と寿命は人間と同じく、各自が摂取する栄養がとても大切です。呼吸をして生きている生き物にとっては食べるものは重要なのです。秘訣はあなたが与えているペットフードの材料ラベルを見て何が入っているのかを見つける事なのです。
獣医師カレン・ベッカー先生の答え:
現在の犬や猫の飼い主さん達は、近年立て続けて起る多数のペットフードのリコール(英語)をとても心配していると思います。
そして商用ペットフードがどれだけ汚染(英語)されているかを見ると、皆さんの愛犬の健康に今すぐでも危害を加える結果になる事を確信しています。しかし現在安価で販売されているほとんどの商用ペットフードに使われている低水準の材料に関しても、長い目で見ると私たちの愛犬の健康を害する原因になるとも思っています。
ペットフードの材料/栄養ラベルを理解するにはリサーチと練習を要します。意図的かどうかはともかくとして、ペットフード会社が表示しているペットフードの材料ラベルの内容は一見とてもややこしかったり、時には誤解を招く様手間をかけられているようにも思えます。
良質と質の悪いドッグフードの商品ラベルの比較
*訳者注:実際に使われているドッグフードの商品ラベルの比較です。日本で市販されているフードの中にも英語で表示されている場合もあるかと思い、英語も入れてあります。
冷凍された生肉フード (*訳者注:良質のフード) Raw, Sold Frozen | 「プレミアム」ドライドッグフード (*訳者注:「プレミアム」と言われているが、実は質の悪いフード) ‘Premium’ Dry Dog Food | ||
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保証された分析 Guaranteed Analysis (as fed) | 保証された分析 Guaranteed Analysis | ||
プロティン(少なくとも)Protein (not less than) | 12% | 粗タンパク質(最小) Crude Protein (min) | 25% |
脂肪(少なくとも) Fat (not less than) | 8% | 粗タンパク質(最小) Crude Fat (min) | 10% |
水分(最高で) Moisture (not more than) | 71% | 水分(最大) Moisture (max) | 14% |
炭水化物(少なくとも) Carbohydrate (not less than) | 3.5% | 炭水化物 Carbohydrate | ?? |
繊維(最高で) Fiber (not more than) | 0.5% | 粗繊維(最大) Crude Fiber (max) | 4% |
材料 Ingredients | 材料 Ingredients | ||
放し飼いの肉=69% 骨、砂肝、心臓、レバーを含む鶏の肉オーガニック野菜=29.3% 人参、カボチャ、芋(ヤム)、ズッキーニ、 セロリ、ローメインレタス、パセリ、リンゴ酢スペシャル栄養素ミックス=1.7% ケルプ、シーソルト(海塩)、 イヌリン、ジンク(亜鉛)、銅、鉄アミノ酸キレート、ビタミンEFree-Range Meat = 69% chicken meat including bone, chicken gizzards, chicken hearts and chicken liversOrganic
Vegetables = 29.3% Special Nutrient Mix = 1.7% | 粉末黄トウモロコシ、コーングルテン粗挽き粉、全粒小麦粉、混合トコフェロールで保存された動物性脂肪(ビタミンEの形態)、大豆タンパク質濃縮物、大豆粉、水、米粉、真珠大麦、砂糖、リン酸三カルシウム、プロピレン・グリコール、アニマルダイジェスト(*訳者注:特定されていない動物の特定されていない部分を煮られた物→ソース)、第二リン酸カルシウム、塩、リン酸、ソルビン酸(保存料)、炭酸カルシウム、塩化カリウム、L-リジン一塩酸塩、乾燥ほうれん草、乾燥リンゴ、乾燥スイートポテト、塩化コリン、プロピオン酸カルシウム(防腐剤)、追加された色(赤40、黄色5、青2、黄色6)、ビタミンEサプリメント、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、ナイアシン、ビタミンサプリメント、硫酸銅、ビタミンB-12サプリメント、DL-メチオニン、パントテン酸カルシウム、チアミン硝酸塩、ニンニク油、塩酸ピリドキシン、リボフラビンサプリメント、ビタミンD-3サプリメント、カルシウムヨウ素酸塩、メナジオン重亜硫酸ナトリウム複合体(ビタミンK活性源)、葉酸、ビオチン、亜セレン酸ナトリウムGround yellow corn, corn gluten meal, whole wheat flour, animal fat preserved with mixed-tocopherols (form of Vitamin E), soy protein concentrate, soy flour, water, rice flour, pearled barley, sugar, tricalcium phosphate, propylene glycol, animal digest, dicalcium phosphate, salt, phosphoric acid, sorbic acid (a preservative), calcium carbonate, potassium chloride, L-Lysine monohydrochloride, dried spinach, dried apples, dried sweet potatoes, choline chloride, calcium propionate (a preservative), added color (Red 40, Yellow 5, Blue 2, Yellow 6), Vitamin E supplement, zinc sulfate, ferrous sulfate, manganese sulfate, niacin, Vitamin A supplement, copper sulfate, Vitamin B-12 supplement, DL-Methionine, calcium pantothenate, thiamine mononitrate, garlic oil, pyridoxine hydrochloride, riboflavin supplement, Vitamin D-3 supplement, calcium iodate, menadione sodium bisulfite complex (source of Vitamin K activity), folic acid, biotin, sodium selenite |
ご覧の通り、「保証された分析」の部分を見るだけでは両者の違いや本当の事は分りません。実際の材料とその表示順番を見る事によって、この2つのドッグフードの品質の違いがよく分かるのです。
以下が上記の「保証された分析」比較に関する特筆すべき点です:
- ドライフードの炭水化物量。これは重要な情報です。なぜなら犬には炭水化物に対する生物学的要求がありません(生肉フードの炭水化物の量は4%以下という部分に注目して下さい。)肉食の犬にとっては炭水化物の高い食べ物は生物学的に最適ではないのです。おそらく、フードの中に入っている炭水化物は犬が身体に必要としているたんぱく質のいくつかを置き換えているのではないかと思われます。
- ドライフードのラベルにある粗たんぱく質、脂肪分と繊維の表示。「粗」という言葉には色んな意味が含まれます。例えば「革製の靴のヒモ」も「粗たんぱく質」という事になります。理解する大切なポイントとしては、この「粗」にどれだけの栄養分が含まれていて、あなたの愛犬の身体にとってどれだけ消化しやすい物であるかを確かめる事は不可能だという点です。
- この2タイプのフードのたんぱく質と水分量の違い。ぱっと見ると生肉のフードの方がドライフードに比べたんぱく質が半分以下に見えます。この表示はとても誤解されやすく書かれています。まるでリンゴとオレンジを比べているかのようです(異なる条件での比較)。
リンゴとリンゴを比べる(同一条件で比べる)には、次の式を使用して乾物ベースで保証された分析成分を計算する必要があります:
100 % – 水分の% = 乾物(DM)の%
100 Percent – Percent Moisture = Percent Dry Matter (DM)
次のように、この式を用いて、それぞれの食品の割合(%)乾物(DM)を決定することができます。
生肉フードは71%の水分を含みます。 100% – 71% = 29% 生肉フードの乾物(DM)は 29% です。 | 奴隷フードは14%の水分を含みます。 100% – 14% = 86% ドライフードの乾物(DM)は86%です。 |
上の計算で量タイプのフードの乾物(DM)の内容を割り出した所で、次の式を使って、真のタンパク質の量を比較することができます:
たんぱく質の%/乾物(DM)の%=乾物基準でのたんぱく質の%
Percent Protein / Percent DM = Percent Protein on a DM Basis
この形式を使って、両タイプのフードのたんぱく質の割合を測定する事ができます。
生肉フード:たんぱく質12%、乾物(DM)29% 12%/29%=41% 生肉フードのDMたんぱく質量は41%です。 | ドライフード:たんぱく質25%、乾物(DM)86% 25%/86%=29% ドライフードのDMたんぱく質量は29%です。 |
上と同じ計算式を使ってその他の保証された分析内の乾物(DM)ベースの材料を比較する事ができます:
生肉フード:脂肪分8% 8% / 29% = 28% 生肉フードは28%のDM脂肪分が含まれています。 | ドライフード:脂肪分10% 10% / 86% = 12% ドライフードには12%の乾物ベースの脂肪分が含まれています。 |
生肉フード:繊維.5% .5% / 29% = .02% 生肉フードは.02%のDM繊維が含まれています。 | ドライフード:繊維4% 4% / 86% = .05%繊維 ドライフードは.05%のDM繊維が含まれています。 |
このように同一条件での比較して見て見ると、生肉フードにはペットフードの材料として大切なたんぱく質、脂肪分と水分が著しく高い事がよく分かります。
ドッグフードのラベルに表示されているべき数点
- ヒューマングレード(USDA認可=米国農務省認可)の材料。これはとても微妙な部分です。なぜならアメリカ飼料検査官協会 (AAFCO)はペットフードの包装における「ヒューマングレード」という言葉の使用を事実上禁止しているからです。結果として、このフレーズを使用する事のできるペットフードは大変稀です。TheBark.comの記事では以下のように説明されています; アメリカ飼料検査官協会 (AAFCO)によると「ヒューマングレード」という言葉は誤解されやすく、そのブランド内容を不誠実に作り上げる可能性があり、その商品の全ての材料と加工方法に対し、人間が消費する為の食品の制作、加工、輸送に必要とされるFDA(米国の食品医薬品局)やUSDA(米農務省)の要件に満たしている事、そして全ての材料を生産する業者がそれぞれの作業を行う為の実施許諾を得ていない場合以外に使用できないという事になっており、非常に少ない数のペットフード会社がこれらの基準を満たす事ができる。 つまり大切なポイントはあなたの買うフードに使われている材料が人間が消費しても良いレベルの物かという事です。例えば、製造業者はフードの材料に「ヒューマングレード」と表示する事が出来なくても、もし彼らが人間が消費してもよいレベルの材料を使用している場合には、なぜ彼らのフードの値段が高いのかを説明する為に、フードのパッケージやマーケティングの材料などにそのように表示されているはずです。 良いブランド(値段が高い)であれば、その材料がヒューマングレードである事の可能性が高まります。もしはっきりと表示されていなければ、その製造会社のウェブサイトか直接電話すればあなたの質問の答えが見つかると思われます。 もっと最良なのは、たんぱく質源が放し飼い、または放牧地で育てられており、ホルモン剤や抗生物質を打たれた動物の肉ではない事です。
- 加工されていない(ホールフーズ)たんぱく質が材料の一番最初にくるもの。鍵となるのはたんぱく質の肉を例えば、ビーフ、ターキー(七面鳥)、ラム(子羊)、チキンなど一言で表示している点です。反対に「動物」、「肉」や「鳥類の肉」など、非特異性に表示されているフードは避けるべきです。商用のペットフードのほとんどは「肉ミール(粉)(meat meal)」が含まれています。「肉ミール(粉)」(meat meal)」は、加工されていないホールフードのたんぱく質の他に、補助的な材料として使われているのなら構いません。これは肉から水分を抜いた部分の事で、骨は含まれていたり、いなかったりしますが、カルシウム/リンのバランスが正しくとれています。加工されていないホールフードのたんぱく質源と同じく、「肉ミール(粉)(meat meal)」もはっきりとした肉の部分から作られたものであるべきです。*訳者注)ミールについては沢山の日本語のサイトでも話題になっていますので、グーグルなどで「ドッグフード ミールって?」などで検索すると沢山出てきます。
- 穀物が入っていない(穀物フリー)。肉食である犬は生物学的に穀物を必要としません。穀物フリーと称するフードの中にはジャガイモを代わりに使っている事がありますが、ジャガイモやその他のでんぷん系の材料を、肉の埋め合わせとして使い過ぎる事はよくありません。
- 飼料検査官協会 (AAFCO)の保証付き。AAFCOはペットに必要な栄養のバランスの最低基準を制定しています。動物の健康を重要視する私たちは、AAFCOの制定するガイドラインにはまだまだ改善の必要がある事も知っています。しかし、AAFCOのガイドラインに沿って作られたペットフードはあなたの犬が生きて行く為に必要な栄養素が含まれているという事は事実です。このAAFCO認定のマークは入っていないフードはあなたのペットが必要な栄養素を取るためには不十分であるという事が言えるでしょう。
そしてペットフードのラベル上で絶対に見たくない数点の材料とは
- 肉の副産物(by-products)、または消化されたもの。肉の副産物、特にチキン、ビーフ、ターキーなどのように種類を特定されていない肉からの副産物には加工する段階で芳しくない材料──くちばし、羽、足、ひづめ、毛、内臓(腫瘍なども含む)がミンチ状態にされて入っています。副産物の例外としては人間の消費用として使われる内臓──レバーや腎臓などです。
- クオリティーの低い完全でないたんぱく質。これらにはコーン(トウモロコシ)グルテン粗粉、小麦グルテン粗粉、米タンパク質濃縮物や大豆タンパクも含まれています。
- コーン(トウモロコシ)や大豆が含まれるフード。コーンは安く、栄養価値のない材料です。そしてアレルギーの原因になる事も知られています。大豆はエストロゲンで、犬の内分泌系に大損害を与える可能性があります。
- BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン:酸化防止剤), BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール:酸化防止剤), Ethoxyquin(エトキシキン:酸化防止剤), Propyl Gallate(没食子酸プロピル)。これらはすべて人工防腐剤です。Ethoxyquin(エトキシキン)は人間用の食べ物に使用される事を禁止されていますが、沢山のペットフードに使われている魚の粉を保存する為に使われています。この名前(Ethoxyquin)はペットフードのラベル上では見つからないはずです。なぜならEthoxyquin(エトキシキン)はこの魚の粉がペットフードの制作工場に着く以前に追加されているからです。魚の入ったドッグフードを購入する事を考えている人は制作業者のラベルやウェブサイトに使用している魚にはEthoxyquin(エトキシキン)は使われていませんと書かれているかどうかを調べて下さい。それ以外にはEthoxyquin(エトキシキン)を使用していると考えるか、制作業者に直接確認するかのどちらかにして下さい。
- ビタミンCやE、またはトコフェロールで保存されているフード。
- 人工着色料、香料、砂糖、甘味料又はプロピレングリコール(propylene glycol)。
どのようにして汚染されていたり、クオリティーの低いペットフードを避けるか
愛犬に食べさせる上で最も栄養素の含まれる最良のフードは袋や缶には入っていません。
以前に私が紹介した「最良から破滅的な13のペットフード」でもお話してように、バランスがとれていて、生物学的に最適なフードをあなたの犬に食べさせるには手作り食が一番です。あなたの犬が食べる食材を完全に管理する事のできるたった1つの方法かもしれません。
もし次にいつ起るかもしれないペットフードのリコールや、難しいペットフードの材料ラベルを読むのに疲れたのなら自分のキッチンで愛犬のご飯を手作りしてあげる事を考える時期かもしれません。もしそうであれば、私の共同著書「Real Food for Healthy Dogs and Cats」を読まれると良いかもしれません。*訳者注:この本は英語です。
この本はクオリティーの良い食材をどのようにして手に入れるか、そしてどのように料理すれば良いか(生食と加熱料理の両方)が書かれています。ですからこの本をみて安心して健康なご飯をみなさんの4本足の家族に作ってあげる事ができます。
*訳者注:手作り食の本は日本でも沢山でています。私は個人的に須崎 恭彦獣医師が書かれている本をおすすめします。分りやすくてとってもよいですよ。
Posted on healthypets.mercola.com by Dr. Becker on Feb 3rd, 2011