2025年5月28日、フロリダ州知事ロン・デサンティス氏は、州内の非営利団体「ビッグ・ドッグ・ランチ・レスキュー」にて、動物保護の強化を目的とした2つの新たな法律に署名しました。それが、「トゥルーパー法(上院法案第150号)」と「デクスター法(下院法案第255号)」です。これらの法案は、動物に対する残虐な行為に対して厳罰を科し、ペットたちの安全と尊厳を守るための法的枠組みを整えるものであり、フロリダ州における動物福祉の取り組みにおいて大きな前進となる内容です。
ロン・デサンティス氏は2019年よりフロリダ州知事を務めており、政治的にはさまざまな意見や立場があることと思いますが、私は彼の「行動力」にコロナ禍の後から注目していました。特に、台風や災害時に州民の命を守るため迅速に動く姿勢には、常に頼もしさを感じていました。今回、このように動物愛護に関する法案に積極的に関わり、署名を行ったことで、私の中での好感度はさらに高まりました(笑)。動物たちの命と尊厳を守るためのこの一歩が、他の州にも広がっていくことを願っています。
フロリダは犬が大好き🐶❤️
ロン・デサンティス知事のインスタグラムに投稿された下のポストには「フロリダは犬が大好き・人間の親友をサポートするために『トゥルーパー法(上院法案第150号)』と『デクスター法(下院法案第255号)』に署名しました。」と書かれています。
トゥルーパー法:災害時のペット放置に罰則
どんな法律?
トゥルーパー法は、自然災害の宣言時や避難命令が出ている際に、犬を屋外に拘束して放置することを三級重罪とする法律です。違反者には最大5年の懲役と1万ドルの罰金が科されます。また、ペットを放置したり、閉じ込めた動物に十分な食料や水、運動を提供しなかった場合も、軽罪として罰則が適用されます。この法律は、2025年10月1日から施行されます。
なぜ生まれた?
この法律の名前は、2024年10月のハリケーン・ミルトンで起きた出来事に由来します。タンパの州間高速道路75号線沿いで、ブルテリアのトゥルーパーがフェンスに縛られたまま放置されていました。洪水が迫る中、フロリダ州ハイウェイパトロールのオーランド・モラレスさんが救助。動画が1200万回以上閲覧され、災害時にペットを置き去りにする行為への関心が高まりました。元の飼い主は加重動物虐待で起訴され、この事件が法律制定のきっかけとなりました。
どんな意味がある?
ハリケーンが頻発するフロリダ州では、災害時のペット保護が課題でした。トゥルーパー法は、飼い主に責任を明確に課し、緊急時に動物を見捨てる行為を抑止します。ペットは家族の一員として大切にされるべき存在。この法律は、そんな意識を社会に根付かせる一歩です。
デクスター法:虐待への厳罰と透明性
どんな法律?
デクスター法は、動物への加重虐待に対する罰則を強化し、フロリダ州初の公開動物虐待者データベースを設置する法律です。ペットを意図的に拷問、切断、または殺害した罪で有罪となった場合、1.25倍の量刑乗数を適用し、より長い刑期を可能にします。データベースは、フロリダ州法執行局が管理し、特定の虐待罪で有罪となった人を公開します。施行は2025年7月1日からです。関連記事:動物虐待から人間社会への影響—暴力行為の連鎖を断ち切るために
なぜ生まれた?
この法律は、ピネラス郡で起きた悲しい事件にちなんで名付けられました。ブルドッグミックスのデクスターは、動物保護施設から引き取られた直後にフォート・デソト公園で首を切断された状態で発見されました。犯人は加重動物虐待で有罪となりましたが、1年強の刑にとどまり、厳しい罰則と虐待者追跡の必要性が浮き彫りに。被害を受けたデクスターの名を冠し、再発防止を目指す法律が生まれました。
どんな意味がある?
デクスター法は、動物への残酷な行為に社会が「許さない」という姿勢を示します。公開データベースは、虐待の履歴を透明にし、動物を預ける際の安全性を高めます。また、厳しい罰則は、虐待を思いとどまらせる効果が期待されます。動物の命を尊重する文化を育むための、力強い一歩と言えるでしょう。アメリカ動物法法律基金(ALDF)の報告によると、動物虐待は家庭内暴力や性的虐待、殺人などの暴力犯罪と密接に関連していると言われています。
署名についてのニュース番組
ハリケーン・ミルトンの際、ブルテリアのトゥルーパーがフェンスに繋がれたまま取り残されていた様子を記録した動画も紹介されています(※過激な描写は含まれていませんのでご安心ください)。
動物と人をつなぐ法律の意義
トゥルーパー法とデクスター法は、単なる罰則の強化にとどまらず、動物を「もの」ではなく、家族やかけがえのない命として尊重する意識を社会に根づかせる大きな一歩となります。フロリダ州のこうした取り組みは、人と動物が互いに尊重し合い、共に生きる未来への明るい希望を示しています。 これらの法律は、動物保護団体や地域住民の真摯な声を受けて実現したものであり、現実に起きたトゥルーパーの救助劇やデクスターの悲しい出来事が、多くの人の心に響き、変化への行動を後押ししました。
私たち一人ひとりが、身近な動物に対して思いやりのある行動を心がけ、その大切さを周囲に伝えていくことで、こうした変化はさらに広がっていくでしょう。 それぞれの人が、自分の暮らす場所で「一隅を照らす」ような優しさを実践することで、その光は社会全体を包むものへと育っていきます。
無垢な瞳でこちらを見つめる動物たちや、そっと寄り添ってくれるあたたかな存在を思い浮かべながら、命を大切にする小さな一歩を踏み出してみませんか。フロリダ州の新しい法律は、そんな優しさの連鎖を広げていく力となってくれるはずです。